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2017年10月 Archive

風雪

  • Posted by: Hachiro
  • 2017-10-30 Mon 14:16:27
  • 穂高
先日の雪は昨日の台風による大雨であらかた解けたのですが、今日は朝からまた吹雪です。
台風からの低気圧が猛烈に発達して冬型の気圧配置となっていますね。

しかしまぁ、この一週間で雪が積もって消えてまた積もって… と目まぐるしい変化です。

それにしても今回の寒波はかなりなもので、今朝の最低気温は-12℃!
日中もほとんど気温は上がらず風雪が吹き荒れています。

171030 風雪
(2017/10/30 11:30 a.m.)


お客さんの姿はここ数日まったくありません。
ひっそりとした小屋内はストーブの点いた部屋以外は氷点下で、スタッフは皆下山までの日数を指折り数えています。
























新雪夕景

  • Posted by: Hachiro
  • 2017-10-26 Thu 00:53:27
  • 穂高
昨日、降り続いた雪は吹き溜まりでは1メートル近くにもなり、平均すると4〜50センチというところでしょうか。
10月としてはちょっと近年にはない積雪量となりました。

でもその雪も午後には止み、やがて雲も切れて新雪の見事な夕景が広がりました。





171025 涸沢岳より奥穂夕景
(2017/10/25 涸沢岳より奥穂夕照)






この時期の雪をまとった穂高には「神々しい」という形容が似合うと思います。
その姿はまるで人の世の穢れを新雪がすべて覆い尽くそうとしているかのようです。


さて私もそろそろ、あと幾度こうした光景を目にすることができるのかと考えねばならない歳になりました。


人の生としては決して短くはない時をこの山で過ごしてきましたけれど、
山や雲や星や風からすれば、
ほんのささやかな時を過ごしてきたに過ぎないのかもしれません。

それでも私にとっては、もう抱えきれないほどの想い出の積もった山です。


































雪降り

  • Posted by: Hachiro
  • 2017-10-25 Wed 08:31:31
  • 穂高
昨夜から再び降り始めた雪は、今朝になっても降り続いています。
積雪はもう20センチを超えたでしょうか。

171025 山荘雪降り
(2017/10/25 7:00 a.m.)


ご覧の通り、ほんの半月前には多くの人で賑わった山荘の前庭ももう真っ白です。

穂高がどんどん原始の姿に戻っていくかのよう。






















初冠雪

  • Posted by: Hachiro
  • 2017-10-24 Tue 07:41:02
  • 穂高
台風が過ぎ去った後、寒気が流れ込んで積雪となりました。
これまで幾度か積もってはいましたけれど、そのまま晴れずに雨で消えたりしていたので今回が「初冠雪」です。

171024 新雪
(2107/10/24 涸沢岳より初冠雪の前穂と富士山遠望)


積雪は吹き溜まりでは30センチほどありますが平均すると5センチといったところでしょうか。
おそらくこれが今冬の根雪となるのではないかと思います。

今朝の気温は−4℃。
小屋閉めまでもう2週間足らずとなり、いよいよ最後の直線に入った感じです。






























かなてこ

  • Posted by: Hachiro
  • 2017-10-11 Wed 08:56:48
  • 穂高
今回はちょっと「番外編」デス。

あまり現地情報には関わりのない内容ですので興味のない方にはすみませんです。
かなり長くなりそうですし。




昨日のことです。

白出沢を下山しがてら登山道を塞いでいた大岩を除去しました。

と、言葉で書けばたったこれだけなのですが、この作業は何というか私の長い小屋番暮らしの経験がモノをいったかなぁと。







動画をご覧いただければお分かりのように、岩の大きさはたたみ一畳ほどもありその重さは推定500キロはあろうかという代物でした。
私が小屋に入った当時は、こうした岩を動かす仕事が登山道はもとより小屋周辺でも結構ありました。
そうした場合、もちろん重機など入らない山の上ですからそれは全て手作業となります。
(ちなみに山での仕事は、その目的がシンプルであればあるほど燃えるし面白いものなンです。デカい岩を動かすなんてのはその最たるもの)

その唯一の武器が今回の主役である「金梃子(カナテコ)」です。
金梃子というのはまあつまりはただの鉄の棒で、太さは3~4センチ、長さは(いろいろありますが)今回使ったのは150センチ。
それぞれの両端は、片側は鈍く尖っていて、もう一方はヘラのように平たく潰れた先端をしています。
実はこの「平たく潰れた先端」というのがミソで、これを岩などの重量物の下に差し込んで梃子として使うのです。
ただしその使い方にはコツというか相応のテクニックが必要です。
シロウトがいくらやってもビクともしない大岩が、技を身につけた者が扱うとアラ不思議、途方もない大岩をウソのように動かすことができるのです。
梃子というのは普通の方がお考え以上に凄い力があるものでして、その使い方も「ハネ梃子」「トメ梃子」「オクリ梃子」などいくつもの技があります。
そしてその使い方のポイントはどんな場合でも「支点」です。
「宇宙に支点さえあればカナテコ一本で地球でも動かしてみせる!」という名言(?)を言い放ったのは、穂高小屋の先代の今田英雄氏でした。
そう、英雄さんはこの金梃子の使い方がめっぽう上手かったのです。
そのテモト(助手)をしている頃、たまに私が金梃子を扱うと、
「アホっ! そうじゃねーんだよ! わかっとらん奴だな!」とか、
「ヘタクソ! おまえが使っとるのは力ばっかで道具を使っとらん!」とか、
「だぁかぁらぁ、ダメなもんがエラそーに手ぇ出すな!」とか、まあボロカスでした。
当時は、現場で手とり足とり人にものを教えるなんてことは一切なく、出来ん奴は引っ込んどれ! やりたきゃ自分で出来るようになれ! があたりまえ。
例えば岩を扱う仕事で手袋をし忘れていても、それを誰も注意なんてしてくれません。
自分がやってみて手を血まみれにしてみれば、次からは手袋が必要だということはいやでも身に沁みました。
山では誰かを頼りにしてはダメなんだ、テメェの足で歩くことこそ大切なのだと教わったのです。
(まぁ今の時代には流行らないでしょうけれど)

あの頃、例えば石垣作りだとか土地造成だとかの土方仕事が小屋ではいっぱいあって、そうした仕事に英雄さんをリーダーとして男衆みんなで立ち向かうのがとても楽しかった(もっとも「楽しかった」なんて今だから思うわけで、当時は下っ端の地味な作業ばかりでクソ面白くもなかったわけですが)のですが、やはり花形は直接石を扱う「石工」役であり上手く金梃子を扱う者でした。
だから私は早く一人前の仕事がしたくて英雄さんの目を盗んではあーでもないこーでもないと金梃子で岩を動かそうとしたものです。
で、ふと気がついてみるとあれから30年、いつの間にか私もいっぱしの金梃子使いになっていました。
というか、近頃ではだいたい一目でその岩のヘソというかツボが分かるようになったのです。






そういえば、いつだったか英雄さんを訪ねるとTVの前で「そーじゃねーんだよ! そこじゃない!、、えーいマァ‼︎」とえらくご立腹のご様子、
そのTV画面を覗き込むと、それはある災害現場の報道画面でした。
岩盤崩落で埋まった車に幼児が取り残されており、それを消防のハイパーレスキュー隊なる方々が救助にあたっているのですが、その現場は上部がまたいつ崩れるかわからないような状況で、重機はもちろん振動を与える機器は使えず岩をひとつひとつ金梃子を使って手作業で取り除いているのです。
しかしその様子が英雄さんにはとてももどかしく、拙く見えたようでした。
…ナルホド、そりゃあ失礼ながらあの方たちよりも我々の方が金梃子なら数段上手いわなぁ、と。
私は常々思うのですが、例えば穂高界隈の各山小屋のエース達を集めた災害救助隊を組織したら、そりゃあもう優秀な部隊になるのではないでしょうか。
遭難救助はもとよりチェーンソーや土方道具の扱いにも長けていますしヘリの対応だってバッチリです。
何より「何もない場所でそれでもそれを何とかする」というのが小屋番の真骨頂みたいなもの、災害現場で活躍できぬわけがないと思うのですが。

閑話休題(それはともかく)

実は今回鉱石沢で動かした岩はもうかれこれ10年以上前に崩落したもので、そこを通る度に「ジャマやなぁ」と思わなくもなかったのです。
まして濡れた下りではちょっと気を使う所で、でも注意すれば脇を容易に抜けられるので、まぁ良いかと。
それにそうした見た目に「明らかに危なそうな場所」というのは、むしろ誰もが用心するので事故は起こらないもの。
(奥穂とジャンダルム間の「馬ノ背」なんてまさにそんな場所です)

ところが、その場所で先月立て続けに滑落事故が起こってしまったのです。
幸い二件とも命に別状はありませんでしたが、あの場所で墜ちればタダでは済みません。
そのうちの一件などは発生状況を聴くと、後ろからガイドさんが「そこ滑るから気をつけて!」と声をかけた直後に墜ちたとか …何をか言わんやです。
岳沢の坂本くんも指摘していますが、最近そうした明らかに危ない場所(危なく見える場所)での遭難が増えているのでしょうか。


と、本記事の目的は実は昨今の遭難事情を憂うことではなく、
こうして長々と駄文を連ねて(動画まで載せて)何を言いたいのか、というと、
ハチローの金梃子使いが今や神の領域に達しているのとちゃうか! ということを自慢したかっただけなのです。

というのも昨日の大岩除去は「ハネ梃子」「オクリ梃子」を微妙に使いわけ、それは見事に岩をどかせたものだからまぁ気持ちよくって。

なので、えっへん、とくとこの動画をご覧あれ。






ね? 見事でしょ⁈



え? 岩どけた跡の道が滑りやすいンですけどって?


……知らんがな、そんなん。








































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