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2015年01月 Archive
道の向こうに
- 2015-01-30 Fri 18:07:19
- 穂高
今月はアイスをよく登りました。
尾白川流域、相沢、戸台、大武川…
いっこうに上達しないぼくの力まかせのへぼクライミングに、
いっしょに行った某さんには「ハッちゃんって、やっぱアックスよりツルハシの方が似合うよな〜」って言われる始末で、
「ドカタ系アイスクライマー」だそうです。
ま、でも楽しいんですけれど。




そんなある日の帰り道、高速道路の向こうに突如という感じで穂高が見えました。

ちょっと胸がきゅんと…
尾白川流域、相沢、戸台、大武川…
いっこうに上達しないぼくの力まかせのへぼクライミングに、
いっしょに行った某さんには「ハッちゃんって、やっぱアックスよりツルハシの方が似合うよな〜」って言われる始末で、
「ドカタ系アイスクライマー」だそうです。
ま、でも楽しいんですけれど。




そんなある日の帰り道、高速道路の向こうに突如という感じで穂高が見えました。

ちょっと胸がきゅんと…
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間違い尾根
- 2015-01-06 Tue 21:24:36
- 穂高
昨年の大晦日に奥穂で遭難した4名パーティが、昨日五日ぶりに全員無事救助されました。
いやぁ、よかった。 ほんとうに。
救助に携わった関係者のみな様には、本当にお疲れさまでした。
これでようやくホッとして正月ですね!
(といっても世の中はすっかり日常が始まってしまったけれど)
さて、奥穂周辺での遭難で度々そのポイントとなる「間違い尾根」について
「間違い尾根」とはたびたび道間違いが起こることから穂高岳山荘の初代支配人の神憲明(じん・のりあき)氏によって名付けられたと聞いています。
この知る人ぞ知る「間違い尾根」は、かつては上高地の伝説的名案内人・上条嘉門次もが穂高初縦走時に迷い込んでしまったという”由緒正しい”間違い道でもあります。
以来幾度となく悲劇の舞台となり、指導標の設置された現在であってもこの場所での遭難は後を絶ちません。
ではなぜこの「間違い尾根」でこうもルート判断を誤るのか?
以下、自分なりの勝手な考察です。
先ず奥穂の山頂から白出のコル(穂高岳山荘)方面へ下山する場合、方角的にはほぼ真北へ向かうことになります。(山頂から見るとちょうど槍ヶ岳へ真っ直ぐの方向)
しかし奥穂山頂直下では下山路は真っ直ぐ北へとは向かわずにやや西向き、つまり西北方向と向かっています。
そして山頂から50mほど下ると、そこで右方向へ急角度に折れて小さな尾根を乗り越し北へ向かう主稜線へと至るのです。

(上空よりの奥穂高岳西面)

(青いラインが主稜線の正規ルート ◯印は誤ルート多発地点)
視界さえ効いていれば特になにも問題ない場所です。
例えば目指す方角の槍ヶ岳などが見えていればもちろんのこと、多少ガスっていても主稜線との位置関係さえ把握できればこの「曲がり角」には気づくはず。
しかし周囲が見えないと間違い尾根を主稜線と錯覚し、その地点でほぼ直角に右に折れると認識できなくなるのではないでしょうか。
(ちなみに嘉門次の初縦走時も奥穂からの下降時はガスに覆われて周囲が全く見えなかったそうです)
さらに積雪期にはこの間違い尾根を乗っ越すあたりの地形が一変することがあげられます。
この地点は雪が付くと主稜線へと至る箇所が急傾斜の雪壁となり、その下降地点は上からのぞくとスッパリ切れ落ちて見えます。
さらに降り口が小さな雪庇状となっている場合もあります。
そうなると視界が効いて主稜線が見えていればともかく、先の見通せない風雪のホワイトアウトではとてもそこを下降するとは思えない地形となってしまうのです。

(上空よりの間違い尾根付近)

「間違い尾根」の右へ折れる地点は直進方向へは容易に下降出来てしまう(実際にはしばらく行くと切れ落ちた岩稜)のですが、雪の付き方次第ではむしろ間違い尾根を若干登り返してから下降するほうが下りやすい場合が多いです。
何度も記しますが、そのポイントで周囲の地形が見えるかどうかが問題で、わずかでも視界があれば尾根の右側の急峻な雪壁から主稜線へのルートが確認できるはず。
それが全く周囲の見えないホワイトアウトでは、その右へ折れる下降地点に気づけない。
そのポイントに一昨年に新調した大きな看板(指導標)が昨春には雪から出ているのは確認しましたが、それも今冬はどういった雪の付き方をしていてどのような状況であったのかはわかりません。
なので「間違い尾根」での遭難は、
・ある地点で急角度で進行方向を変えなければならない
・降りるべきルートが急斜面の雪壁となっているため下降路と認識できない
という地形的要因を背景に、
・視界不良(ホワイトアウト)
という状況から発生すると考えられます。
それに加えて、
・奥穂山頂というひとつの到達点を過ぎたことからの安心感
・現場は悪天時にまともに風雪が吹き付ける風上側の西側斜面
・間違い尾根の右側ルンゼと主稜線右の直登ルンゼの類似
など、トラブルの要因は他にも考えられます。
奥穂山頂から穂高岳山荘までの歩行距離は647m。
(これは前述の神さんが登山道沿いに巻尺をあてて測った距離です)
なので間違い尾根から山荘は600mほどでしょうか。
夏であればものの数十分の距離で、積雪期に慎重に降りたとしても1時間ほどです。
このほんのわずかともいえる下降路で、過去幾人もの方が命を落とされています。
もっと山荘寄りの支尾根へ迷い込んだ末に滑落し白出沢で発見された方もひとりやふたりではありません。
また山荘上部の雪壁での滑落やルート迷いも毎年のように発生しています。
ジャンダルムやロバの耳といった悪場に比べればずっと容易であるはずの稜線なのに、実は小さな落とし穴がいくつもあるということでしょう。
ぼく自身、夏の何でもない時期にこの稜線で深い霧にまかれて、ちょっとした錯覚を起こしたことはありますし、冬の強烈な風雪にルートを失いかけたこともあります。
なのでそもそもそういった状況に陥るのを回避すべきなのですが、山と関われば関わるほど悪天時に行動せざるを得ない場合も出てきてしまいます。
ましてレスキューなどは悪天時ほど多く起きる訳ですし。
ただ「間違い尾根」に関していえば、その地形の特徴をあらかじめ認識していればトラブルを回避きるのではないかと思います。
そこに落とし穴があると知っていれば陥ることはないわけですから。
穂高では特別険しいとも言えない「間違い尾根」ですが、実はそこには罠がある。
穂高の先達はそのことを伝えたくてあの尾根にそう名付けたのだと思います。
昨日救助された方たちは西穂からの縦走と伺いました。
入山日などのくわしい行程は不案内なのですが、
31日に奥穂山頂到着の後に間違い尾根でひとりが滑落して付近でビバーク、
翌1日に穂高岳山荘の冬期小屋に入って救助を待ち、昨日に至ると聞いています。
この時期に西穂〜奥穂縦走をやるのですから相応の技量をお持ちのパーティであると察します。
ジャンやロバ耳、馬の背といった核心を越えついに奥穂山頂へ、
そこからあとわずか稜線を下れば、手ごたえのある縦走を成しての楽しい大晦日を迎えられるはずだったでしょう。
それが不運にも間違い尾根の罠に陥ってしまい、メンバーのひとりが負傷してしまった…
ぼくには当時の細かな状況や怪我の程度はわかりません。
しかし厳冬期のあの場所での遭難がどれほど深刻な状況となるかは想像がつきます。
ですからアクシデントの後に冷静に現場でビバークし(それはとても過酷な夜であったと思います)、
翌日に4名ともが無事に白出のコルの冬期小屋に入るのはかなりギリギリの状態ではなかったでしょうか。
過去には最初のアクシデントでは致命傷とはならずとも、劣悪な風雪下ではその後の対処を如何ともし難く無念にも命を落とされた方が少なからずおられます。
所属山岳会のリーダーのコメントに「ご迷惑をおかけして誠に申し訳ない。ルートファインディングのミスが悔やまれる。」とありました。
ミスはミスであったろうとは思うのですが、それによるアクシデントに見舞われても結果として無事にみなさんが生還出来たのはほんとうによかった。
それはいくつかの幸運とメンバーご自身のがんばりによるものだと思います。
ともかく新年を迎えた早々に、穂高での悲しい知らせを聞くことがなく胸を撫でおろしました。
どうか今年一年、少しでも遭難が起きぬよう願うばかりです。

(山麓より望む間違い尾根と奥穂山頂)
いやぁ、よかった。 ほんとうに。
救助に携わった関係者のみな様には、本当にお疲れさまでした。
これでようやくホッとして正月ですね!
(といっても世の中はすっかり日常が始まってしまったけれど)
さて、奥穂周辺での遭難で度々そのポイントとなる「間違い尾根」について
「間違い尾根」とはたびたび道間違いが起こることから穂高岳山荘の初代支配人の神憲明(じん・のりあき)氏によって名付けられたと聞いています。
この知る人ぞ知る「間違い尾根」は、かつては上高地の伝説的名案内人・上条嘉門次もが穂高初縦走時に迷い込んでしまったという”由緒正しい”間違い道でもあります。
以来幾度となく悲劇の舞台となり、指導標の設置された現在であってもこの場所での遭難は後を絶ちません。
ではなぜこの「間違い尾根」でこうもルート判断を誤るのか?
以下、自分なりの勝手な考察です。
先ず奥穂の山頂から白出のコル(穂高岳山荘)方面へ下山する場合、方角的にはほぼ真北へ向かうことになります。(山頂から見るとちょうど槍ヶ岳へ真っ直ぐの方向)
しかし奥穂山頂直下では下山路は真っ直ぐ北へとは向かわずにやや西向き、つまり西北方向と向かっています。
そして山頂から50mほど下ると、そこで右方向へ急角度に折れて小さな尾根を乗り越し北へ向かう主稜線へと至るのです。

(上空よりの奥穂高岳西面)

(青いラインが主稜線の正規ルート ◯印は誤ルート多発地点)
視界さえ効いていれば特になにも問題ない場所です。
例えば目指す方角の槍ヶ岳などが見えていればもちろんのこと、多少ガスっていても主稜線との位置関係さえ把握できればこの「曲がり角」には気づくはず。
しかし周囲が見えないと間違い尾根を主稜線と錯覚し、その地点でほぼ直角に右に折れると認識できなくなるのではないでしょうか。
(ちなみに嘉門次の初縦走時も奥穂からの下降時はガスに覆われて周囲が全く見えなかったそうです)
さらに積雪期にはこの間違い尾根を乗っ越すあたりの地形が一変することがあげられます。
この地点は雪が付くと主稜線へと至る箇所が急傾斜の雪壁となり、その下降地点は上からのぞくとスッパリ切れ落ちて見えます。
さらに降り口が小さな雪庇状となっている場合もあります。
そうなると視界が効いて主稜線が見えていればともかく、先の見通せない風雪のホワイトアウトではとてもそこを下降するとは思えない地形となってしまうのです。

(上空よりの間違い尾根付近)

※ 間違い尾根の下降ポイント
青色が正しいルート (途中2つに分かれて記しているのは雪の状態により2つのルートが考えられるため)
向かって右は夏道沿い=降り口が小雪庇となる場合多し
左は下降ポイントが夏道よりも一段上がったところとなる=降り口直下が急傾斜
「間違い尾根」の右へ折れる地点は直進方向へは容易に下降出来てしまう(実際にはしばらく行くと切れ落ちた岩稜)のですが、雪の付き方次第ではむしろ間違い尾根を若干登り返してから下降するほうが下りやすい場合が多いです。
何度も記しますが、そのポイントで周囲の地形が見えるかどうかが問題で、わずかでも視界があれば尾根の右側の急峻な雪壁から主稜線へのルートが確認できるはず。
それが全く周囲の見えないホワイトアウトでは、その右へ折れる下降地点に気づけない。
そのポイントに一昨年に新調した大きな看板(指導標)が昨春には雪から出ているのは確認しましたが、それも今冬はどういった雪の付き方をしていてどのような状況であったのかはわかりません。
なので「間違い尾根」での遭難は、
・ある地点で急角度で進行方向を変えなければならない
・降りるべきルートが急斜面の雪壁となっているため下降路と認識できない
という地形的要因を背景に、
・視界不良(ホワイトアウト)
という状況から発生すると考えられます。
それに加えて、
・奥穂山頂というひとつの到達点を過ぎたことからの安心感
・現場は悪天時にまともに風雪が吹き付ける風上側の西側斜面
・間違い尾根の右側ルンゼと主稜線右の直登ルンゼの類似
など、トラブルの要因は他にも考えられます。
奥穂山頂から穂高岳山荘までの歩行距離は647m。
(これは前述の神さんが登山道沿いに巻尺をあてて測った距離です)
なので間違い尾根から山荘は600mほどでしょうか。
夏であればものの数十分の距離で、積雪期に慎重に降りたとしても1時間ほどです。
このほんのわずかともいえる下降路で、過去幾人もの方が命を落とされています。
もっと山荘寄りの支尾根へ迷い込んだ末に滑落し白出沢で発見された方もひとりやふたりではありません。
また山荘上部の雪壁での滑落やルート迷いも毎年のように発生しています。
ジャンダルムやロバの耳といった悪場に比べればずっと容易であるはずの稜線なのに、実は小さな落とし穴がいくつもあるということでしょう。
ぼく自身、夏の何でもない時期にこの稜線で深い霧にまかれて、ちょっとした錯覚を起こしたことはありますし、冬の強烈な風雪にルートを失いかけたこともあります。
なのでそもそもそういった状況に陥るのを回避すべきなのですが、山と関われば関わるほど悪天時に行動せざるを得ない場合も出てきてしまいます。
ましてレスキューなどは悪天時ほど多く起きる訳ですし。
ただ「間違い尾根」に関していえば、その地形の特徴をあらかじめ認識していればトラブルを回避きるのではないかと思います。
そこに落とし穴があると知っていれば陥ることはないわけですから。
穂高では特別険しいとも言えない「間違い尾根」ですが、実はそこには罠がある。
穂高の先達はそのことを伝えたくてあの尾根にそう名付けたのだと思います。
昨日救助された方たちは西穂からの縦走と伺いました。
入山日などのくわしい行程は不案内なのですが、
31日に奥穂山頂到着の後に間違い尾根でひとりが滑落して付近でビバーク、
翌1日に穂高岳山荘の冬期小屋に入って救助を待ち、昨日に至ると聞いています。
この時期に西穂〜奥穂縦走をやるのですから相応の技量をお持ちのパーティであると察します。
ジャンやロバ耳、馬の背といった核心を越えついに奥穂山頂へ、
そこからあとわずか稜線を下れば、手ごたえのある縦走を成しての楽しい大晦日を迎えられるはずだったでしょう。
それが不運にも間違い尾根の罠に陥ってしまい、メンバーのひとりが負傷してしまった…
ぼくには当時の細かな状況や怪我の程度はわかりません。
しかし厳冬期のあの場所での遭難がどれほど深刻な状況となるかは想像がつきます。
ですからアクシデントの後に冷静に現場でビバークし(それはとても過酷な夜であったと思います)、
翌日に4名ともが無事に白出のコルの冬期小屋に入るのはかなりギリギリの状態ではなかったでしょうか。
過去には最初のアクシデントでは致命傷とはならずとも、劣悪な風雪下ではその後の対処を如何ともし難く無念にも命を落とされた方が少なからずおられます。
所属山岳会のリーダーのコメントに「ご迷惑をおかけして誠に申し訳ない。ルートファインディングのミスが悔やまれる。」とありました。
ミスはミスであったろうとは思うのですが、それによるアクシデントに見舞われても結果として無事にみなさんが生還出来たのはほんとうによかった。
それはいくつかの幸運とメンバーご自身のがんばりによるものだと思います。
ともかく新年を迎えた早々に、穂高での悲しい知らせを聞くことがなく胸を撫でおろしました。
どうか今年一年、少しでも遭難が起きぬよう願うばかりです。

(山麓より望む間違い尾根と奥穂山頂)
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あけましておめでとうございます
- 2015-01-03 Sat 17:51:42
- 穂高
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今日の夕方、近くのスキー場から日没間際に一瞬穂高が見えました。

(2015/01/03 流葉スキー場より)
山荘の冬期小屋には救助を待つ4名が居るはず。
厳冬期の稜線は一瞬視界が効いたからといって、おいそれとはヘリは近づけません。
どうか無事のピックアップを祈るばかりです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今日の夕方、近くのスキー場から日没間際に一瞬穂高が見えました。

(2015/01/03 流葉スキー場より)
山荘の冬期小屋には救助を待つ4名が居るはず。
厳冬期の稜線は一瞬視界が効いたからといって、おいそれとはヘリは近づけません。
どうか無事のピックアップを祈るばかりです。
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