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2014年08月 Archive
雲の上の上映会
- 2014-08-30 Sat 21:52:12
- 穂高
昨夜は「涸沢フェスティバル」の一環として、なんと涸沢の野外で映画「小屋番」の上映が行われました。

(2014/08/29 涸沢ヒュッテにて)
心配された空模様もなんとか持ちこたえてくれて、ヒュッテの男衆お手製(この手の仕事はお手のもの、さすが「小屋番」です!)の大スクリーンに見事上映。
ちょっと肌寒い中、最後までご覧下さったみなさま、ありがとうございました。
穂高の峰々の只中で、大勢の方が熱心にスクリーンを見つめて下さっていることに何だか胸が熱くなりました。
うまく云えないのですが、穂高が創り出す闇の中で、穂高で懸命に働く者たちの映画を、穂高に登ってきて下さった方々にご覧いただく、というのは、映画を作った者としてはとても幸せなことであると感じました。
以下、上映作である「小屋番」の演出を手がけていただいた伊勢真一監督のある言葉を…
映画を創るたびに、沢山の人に観てもらおうと奔走する。「映画は観てもらうことで映画になるのだから…」と至極真当な思いに駆られながら。
けれども、深い挫折感に襲われることも度々である。悔しい思いの繰り返しだ。
でも、創ってよかったと思うこともある。たったひとりの人から寄せられた感想、たったひとりの人にほめられたこと、たったひとりの人の拍手、そして、笑顔。
たったひとりの人が足を運んでくれたこと、たったひとりの人が気にかけてくれていること…。その、たったひとりに向けて私は映画を創っているのだろう。
たったひとりがたまたま多い時もあれば、ほんの少しの時もある。
そう考えれば気は楽だ。
圧倒的な情報社会のただ中で、マスメディアと無縁ではいられない自分を意識しながら、それでも、たったひとりの人と向き合い、伝え合う気持ちをベースに映画を創り、観てもらうようでありたい。
たったひとりの存在に支えられることは、自分自身がたったひとりの存在として誰かしらを支えることでもあるように思う。
そうありたいと思う。
これは「いせ日記」という伊勢監督の言葉をまとめた本(私はこの本からたびたび勇気と元気をもらっています)からの引用なのですが、私もあまり人に観てもらえない山の映像を作りつづけている身として、この言葉は沁みます。
受け手の顔の見えないTVやネットとは違って、ささやかではあっても人と映像が直接触れあえる上映会というのはほんとうに良いものです。
それがしかも、穂高のど真ん中で行われたというのは本当に嬉しい。
そもそも「涸沢の野外で上映会をやろうヨ!」との言い出しっぺは伊勢真一監督ご本人でした。
もちろん昨夜も参加するつもり満々だったのですが、残念ながら体調不良によりご不在となってしまいましたが、伊勢さんが思い描いていたであろう、とてもハートフルで素敵な上映会になったと思います。
なによりスクリーンに映る涸沢ヒュッテの小屋番たちがカッコよかったし、それをちょっと恥ずかしそうに、あるいはちょっと誇らしげに見つめる彼等彼女等自身の姿が何ともよかった。
昨夜の上映会で受けた「爽やかな感動」は、実は映画「小屋番」の印象そのものでもあります。
伊勢監督は、これまでずっとそんな人間讃歌をあたたかな視線で描きつづけてこられました。
ドキュメンタリー映画を創り続けることは決して生やさしいナリワイではないと思うのですが、それでも歯をくいしばってこうした優れた作品を世に送り出し続けて来ていることにはほんとうに頭が下がります。
そしてそれはある意味で奇跡のようなこと。
そんな奇跡の片隅に携われたことを、私も「いせ組」のひとりとしてちょっと誇らしくなった夜でした。

(2014/08/29 涸沢ヒュッテにて)
心配された空模様もなんとか持ちこたえてくれて、ヒュッテの男衆お手製(この手の仕事はお手のもの、さすが「小屋番」です!)の大スクリーンに見事上映。
ちょっと肌寒い中、最後までご覧下さったみなさま、ありがとうございました。
穂高の峰々の只中で、大勢の方が熱心にスクリーンを見つめて下さっていることに何だか胸が熱くなりました。
うまく云えないのですが、穂高が創り出す闇の中で、穂高で懸命に働く者たちの映画を、穂高に登ってきて下さった方々にご覧いただく、というのは、映画を作った者としてはとても幸せなことであると感じました。
以下、上映作である「小屋番」の演出を手がけていただいた伊勢真一監督のある言葉を…
映画を創るたびに、沢山の人に観てもらおうと奔走する。「映画は観てもらうことで映画になるのだから…」と至極真当な思いに駆られながら。
けれども、深い挫折感に襲われることも度々である。悔しい思いの繰り返しだ。
でも、創ってよかったと思うこともある。たったひとりの人から寄せられた感想、たったひとりの人にほめられたこと、たったひとりの人の拍手、そして、笑顔。
たったひとりの人が足を運んでくれたこと、たったひとりの人が気にかけてくれていること…。その、たったひとりに向けて私は映画を創っているのだろう。
たったひとりがたまたま多い時もあれば、ほんの少しの時もある。
そう考えれば気は楽だ。
圧倒的な情報社会のただ中で、マスメディアと無縁ではいられない自分を意識しながら、それでも、たったひとりの人と向き合い、伝え合う気持ちをベースに映画を創り、観てもらうようでありたい。
たったひとりの存在に支えられることは、自分自身がたったひとりの存在として誰かしらを支えることでもあるように思う。
そうありたいと思う。
これは「いせ日記」という伊勢監督の言葉をまとめた本(私はこの本からたびたび勇気と元気をもらっています)からの引用なのですが、私もあまり人に観てもらえない山の映像を作りつづけている身として、この言葉は沁みます。
受け手の顔の見えないTVやネットとは違って、ささやかではあっても人と映像が直接触れあえる上映会というのはほんとうに良いものです。
それがしかも、穂高のど真ん中で行われたというのは本当に嬉しい。
そもそも「涸沢の野外で上映会をやろうヨ!」との言い出しっぺは伊勢真一監督ご本人でした。
もちろん昨夜も参加するつもり満々だったのですが、残念ながら体調不良によりご不在となってしまいましたが、伊勢さんが思い描いていたであろう、とてもハートフルで素敵な上映会になったと思います。
なによりスクリーンに映る涸沢ヒュッテの小屋番たちがカッコよかったし、それをちょっと恥ずかしそうに、あるいはちょっと誇らしげに見つめる彼等彼女等自身の姿が何ともよかった。
昨夜の上映会で受けた「爽やかな感動」は、実は映画「小屋番」の印象そのものでもあります。
伊勢監督は、これまでずっとそんな人間讃歌をあたたかな視線で描きつづけてこられました。
ドキュメンタリー映画を創り続けることは決して生やさしいナリワイではないと思うのですが、それでも歯をくいしばってこうした優れた作品を世に送り出し続けて来ていることにはほんとうに頭が下がります。
そしてそれはある意味で奇跡のようなこと。
そんな奇跡の片隅に携われたことを、私も「いせ組」のひとりとしてちょっと誇らしくなった夜でした。
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大雨のち雲海
- 2014-08-26 Tue 20:54:12
- 穂高
今日はシャワーを浴びるがごとしの雨の中を涸沢から入山しました。
横尾からの道中に追い越させてもらったいくつかの団体は、
本当は今日、穂高岳山荘泊の予定だったようなのですが、
あまりの雨脚にどのツアーも急遽涸沢での宿泊に変更されたようです。
まぁあの降りでは「致し方なし」ではあるのですが、
皮肉にも稜線では夕方から雲が切れ始め、
それはそれは見事な大雲海が広がりました。

(2014/08/26 5:40pm 涸沢岳稜線より)
せっかくあの雨の中をがんばって歩いておられた方々に、なんとかこの光景を見ていただきたかったなぁ
横尾からの道中に追い越させてもらったいくつかの団体は、
本当は今日、穂高岳山荘泊の予定だったようなのですが、
あまりの雨脚にどのツアーも急遽涸沢での宿泊に変更されたようです。
まぁあの降りでは「致し方なし」ではあるのですが、
皮肉にも稜線では夕方から雲が切れ始め、
それはそれは見事な大雲海が広がりました。

(2014/08/26 5:40pm 涸沢岳稜線より)
せっかくあの雨の中をがんばって歩いておられた方々に、なんとかこの光景を見ていただきたかったなぁ
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街
- 2014-08-21 Thu 21:36:33
- 穂高
>某イベント出席のため下界の人となっております。

(2014/08/21 大阪・阿倍野にて)
こう見えても神戸生まれの神戸育ちで、自称「シティボーイ」のはずだったのですが、
今日は大阪地下鉄の乗り換えで「ありゃ? なんかへんやぞ…」と気づいたときには、
あろうことか逆方向の電車に乗ってしまっていました。
常々、登山道のマーキングを白ペンキで整備し、
「アッホやなぁ! なんでこれで間違うねん、ちょっと注意したらわかるやねーか!?」
と登山者のみなさまへ、やたらとキビシい視線を向けていた私なのですが、
間違えた駅の通路を見直せば、これ以上ないデカい矢印で乗り換え表示が示されていて…
おまけに伝えられた宿にはなかなかたどり着けず、
「こらあかん、ひっとして今夜はビバークになるかもしれん…」とおののく始末。
いやぁ〜 やっぱし山も街もナメたらあかん! ですね。
アノ… 出来たら地下鉄も「白ペンキ」で印つけて下さると、迷わへんのとちゃうかな〜 なんて。

(2014/08/21 大阪・阿倍野にて)
こう見えても神戸生まれの神戸育ちで、自称「シティボーイ」のはずだったのですが、
今日は大阪地下鉄の乗り換えで「ありゃ? なんかへんやぞ…」と気づいたときには、
あろうことか逆方向の電車に乗ってしまっていました。
常々、登山道のマーキングを白ペンキで整備し、
「アッホやなぁ! なんでこれで間違うねん、ちょっと注意したらわかるやねーか!?」
と登山者のみなさまへ、やたらとキビシい視線を向けていた私なのですが、
間違えた駅の通路を見直せば、これ以上ないデカい矢印で乗り換え表示が示されていて…
おまけに伝えられた宿にはなかなかたどり着けず、
「こらあかん、ひっとして今夜はビバークになるかもしれん…」とおののく始末。
いやぁ〜 やっぱし山も街もナメたらあかん! ですね。
アノ… 出来たら地下鉄も「白ペンキ」で印つけて下さると、迷わへんのとちゃうかな〜 なんて。
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雨のお盆
- 2014-08-17 Sun 11:53:31
- 穂高
いやはやヒドい天気が続きます。
結局お盆の期間中に雨の降らなかった日はなく、しかも時折は「豪雨」と呼ぶべき降り方です。

(2014/08/16 10:30am)
この写真は粒子が荒れて見えますが、それは雨が写っているからで、
めずらしく視界は効いていたものの、叩きつけるような激しい雨が辺りを煙らせるかのようでした。
いつもの夏であれば大勢の登山者で賑わうお盆休みも、この天候では如何ともし難く、
まぁ人の動きが少ないぶん事故もないよなぁ と思っていたところへ、昨日、今日と穂高周辺での遭難の報が伝わってきてしまいました。

(2104/07/28 滝谷出合)

(2104/07/28 滝谷出合)
上2点は先月末の滝谷出合の写真です。
この時は前日は大雨だったものの朝から晴天となり、水流もたいしたことはなく飛び石伝いに楽に徒渉出来ました。
でも河原を横切りながらふと「ここは大雨降ると、ちょっと渡るのムリやろうなぁ」との思いが頭をよぎったのです。
それがまさか…
今日も時折雷を伴う雨が降りしきっています。
流された3名の方をはじめ、行方不明となっている方々の捜索が行われているようですが、
このコンディションでは難航すると思われますし、増水した沢では探す側の危険も増します。
屋根に叩きつける雨音を聞きながら、
せめて、そんなに激しく降るなよなと願わずにおられません。
結局お盆の期間中に雨の降らなかった日はなく、しかも時折は「豪雨」と呼ぶべき降り方です。

(2014/08/16 10:30am)
この写真は粒子が荒れて見えますが、それは雨が写っているからで、
めずらしく視界は効いていたものの、叩きつけるような激しい雨が辺りを煙らせるかのようでした。
いつもの夏であれば大勢の登山者で賑わうお盆休みも、この天候では如何ともし難く、
まぁ人の動きが少ないぶん事故もないよなぁ と思っていたところへ、昨日、今日と穂高周辺での遭難の報が伝わってきてしまいました。

(2104/07/28 滝谷出合)

(2104/07/28 滝谷出合)
上2点は先月末の滝谷出合の写真です。
この時は前日は大雨だったものの朝から晴天となり、水流もたいしたことはなく飛び石伝いに楽に徒渉出来ました。
でも河原を横切りながらふと「ここは大雨降ると、ちょっと渡るのムリやろうなぁ」との思いが頭をよぎったのです。
それがまさか…
今日も時折雷を伴う雨が降りしきっています。
流された3名の方をはじめ、行方不明となっている方々の捜索が行われているようですが、
このコンディションでは難航すると思われますし、増水した沢では探す側の危険も増します。
屋根に叩きつける雨音を聞きながら、
せめて、そんなに激しく降るなよなと願わずにおられません。
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雲きれる
- 2014-08-13 Wed 07:32:13
- 穂高
青空なんて、もうこの世にないのんとちゃうかと思うような日が続いていましたが、
昨日の午後、約10日ぶりに山々がやっとその勇姿を見せてくれました。

(2014/08/12 6:00pm)
そして見事な夕景 — 小屋まわりのあちこちから歓声やら感嘆の声が。

(2014/08/12 6:40pm)
日が沈んだ後の風は初秋を思わせる冷たさで、小屋へもどった頃には手がかじかんでいました。
— おいおい、これでもう今年の夏は終わりか? それはあんまりやろ…
昨日の午後、約10日ぶりに山々がやっとその勇姿を見せてくれました。

(2014/08/12 6:00pm)
そして見事な夕景 — 小屋まわりのあちこちから歓声やら感嘆の声が。

(2014/08/12 6:40pm)
日が沈んだ後の風は初秋を思わせる冷たさで、小屋へもどった頃には手がかじかんでいました。
— おいおい、これでもう今年の夏は終わりか? それはあんまりやろ…
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