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2014年07月 Archive
風の景
- 2014-07-26 Sat 20:24:42
- 穂高
下界はとんでもない猛暑だそうで…
それがちょっと申し訳なく感じてしまうくらい、
今日の穂高はどこまでも爽やかな風の吹く気持ちのよい一日でした。

(2014/07/26 3:40pm 涸沢岳より)
上の写真は涸沢岳からのよく見るアングルで、一見なんでもない写真なのですが、
実は現地に暮らす私でもなかなかに撮ることの叶わぬ夏の午後の穂高であるのです。
と云うのも、たいていこの時期は午後になると雲が湧いてきて展望が閉ざされるのが普通です。
なのでこうして午後の光線で、しかもほどよい雲が流れていてくれて爽やかさを演出してくれるというの滅多にありません。
こうした大展望を表すのに、「風景」(風の景)、「光景」(光の景)、「景色」(色の景)などという言葉がありますが、
今日はほんとうに「風景」と呼ぶのがふさわしい一日でした。

(2014/07/26 涸沢岳山頂にて)
穂高の短い夏は、そろそろ盛りを迎えようとしています。
それがちょっと申し訳なく感じてしまうくらい、
今日の穂高はどこまでも爽やかな風の吹く気持ちのよい一日でした。

(2014/07/26 3:40pm 涸沢岳より)
上の写真は涸沢岳からのよく見るアングルで、一見なんでもない写真なのですが、
実は現地に暮らす私でもなかなかに撮ることの叶わぬ夏の午後の穂高であるのです。
と云うのも、たいていこの時期は午後になると雲が湧いてきて展望が閉ざされるのが普通です。
なのでこうして午後の光線で、しかもほどよい雲が流れていてくれて爽やかさを演出してくれるというの滅多にありません。
こうした大展望を表すのに、「風景」(風の景)、「光景」(光の景)、「景色」(色の景)などという言葉がありますが、
今日はほんとうに「風景」と呼ぶのがふさわしい一日でした。

(2014/07/26 涸沢岳山頂にて)
穂高の短い夏は、そろそろ盛りを迎えようとしています。
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梅雨明け?
- 2014-07-23 Wed 16:23:23
- 穂高
一昨日の東海地方に続いて昨日関東甲信越の梅雨明けも発表されましたが、
何だか「梅雨明け十日」には程遠いイマイチすっきりとしない空模様が続いています。

(2014/07/23 5:00am)
猛暑日ともなっている下界では信じられない話でしょうが、
実際まだまだ気温も低くて、小屋の中では朝夕ストーブを焚いているほどです。
北陸地方が梅雨明けとならないと安定しないのかなぁ…
何だか「梅雨明け十日」には程遠いイマイチすっきりとしない空模様が続いています。

(2014/07/23 5:00am)
猛暑日ともなっている下界では信じられない話でしょうが、
実際まだまだ気温も低くて、小屋の中では朝夕ストーブを焚いているほどです。
北陸地方が梅雨明けとならないと安定しないのかなぁ…
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夏到来
- 2014-07-21 Mon 11:32:53
- 穂高
昨日までのうっとおしい天気が嘘のように青空がひろがり、いよいよ夏到来です。

(2014/07/21 涸沢岳山頂より槍と北穂)
こんな清々しい景色の広がった今朝でしたが、この写真も今日は悲しいものとして見えてしまいます。
写真の左端の雪渓上付近(我々は通称「オダマキのコル」と呼んでいます)から少し登った稜線で昨日滑落事故が発生し、遭難された方は滝谷D沢を約200m下りた所で亡骸となって発見されました。
そして今朝、岐阜県警ヘリにより収容。

(2014/07/21 涸沢岳西尾根より)
今年携わった収容作業では、私と同じ40代後半の方が幾人かおられましたが、今回の方も同世代の方でした。
きっと奥さんやお子さんもおられるに違いなく、何とも言葉がありません。
山で亡くなるかた誰もが、まさかご自分がそうなるとは思ってもみないはずで、
その突然の死は、いったい周囲の者へどれほどの嘆きと深い悲しみをもたらすのか。
どうにも悲しい夏の初まりとなりました。

(2014/07/21 涸沢岳山頂より槍と北穂)
こんな清々しい景色の広がった今朝でしたが、この写真も今日は悲しいものとして見えてしまいます。
写真の左端の雪渓上付近(我々は通称「オダマキのコル」と呼んでいます)から少し登った稜線で昨日滑落事故が発生し、遭難された方は滝谷D沢を約200m下りた所で亡骸となって発見されました。
そして今朝、岐阜県警ヘリにより収容。

(2014/07/21 涸沢岳西尾根より)
今年携わった収容作業では、私と同じ40代後半の方が幾人かおられましたが、今回の方も同世代の方でした。
きっと奥さんやお子さんもおられるに違いなく、何とも言葉がありません。
山で亡くなるかた誰もが、まさかご自分がそうなるとは思ってもみないはずで、
その突然の死は、いったい周囲の者へどれほどの嘆きと深い悲しみをもたらすのか。
どうにも悲しい夏の初まりとなりました。
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連休直前
- 2014-07-18 Fri 11:51:23
- 穂高
明日からいよいよ「海の日」の連休です。
これで夏山開幕!となれば良いのですが、あいにくここ数日はまだ天気が悪そうですね。

(2014/07/18 8:30am)
さて、今日は涸沢経由で入山しましたので、以下はこの連休に穂高登山を計画されている方へのルート情報です。

涸沢ヒュッテまで30分ほどの所で雪渓が現れます。
しかしここは斜度もありませんし数十メートルで終わるのでアイゼンなどは必要ないでしょう。

涸沢ヒュッテと涸沢小屋の分岐手前からまた雪渓となり少し斜度が増します。
登りは問題なくても下りは軽アイゼンなどがあった方が歩きやすいでしょう。
涸沢からザイテングラードに取り付くには2つのルートがありますが、
涸沢ヒュッテからのパノラマコースは未だほとんどが雪に覆われていますので、
ヒュッテからであっても一旦涸沢小屋を経由して登る方が雪渓を歩く距離が短くて済みます。

涸沢小屋からしばらく灌木帯を登ると広い斜面に出ますが、ここからがモンダイ…
ここは広い雪渓に覆われていて迂回する事は出来ません。
晴れていてある程度日差しがある時であれば雪渓の雪も緩むのですが、今日のように雨の日には雪渓はカチカチになります。
雪に慣れておられる方ならアイゼンなしでも登れるとは思いますが、アイゼンをした方がずっと歩きやすいし安全です。
我々も当然アイゼン装着しました。

こんな感じでまだまだかなりの距離の雪渓を歩かねばなりません。
登りはともかく下りは軽アイゼンでもよいから何か滑り止めが欲しいですね。
滑落して命を落とすような斜度ではないにせよ、何もなしにこの雪渓を下るのはちょっとした技術と気合いが必要です。

ザイテングラートへの長いトラバースへ辿り着くと、もうルートにほとんど雪はありません。

ザイテン取り付き脇の急峻な雪渓はご覧のとおり「雪切り」が施してあるので問題なく通過できます。

取り付き直下で現れる雪渓も問題とならないでしょう。

ザイテングラートは途中いくつかルートが別れている箇所がありますが、出来るだけマーキングに忠実に歩いてください。
その方が楽に歩けますし安全です。
また下る際は涸沢へ向って進行方向右側の「あずき沢」へ下りないように。
一見するとザイテンより歩きやすそうな一定の斜面に見えますが、踏み込むと足元がグズグズの質の悪い悪場ですし、付近の植生も荒らしてしまいますので。

ザイテンの急登を登り詰めるとやがてまた左側に雪渓が現れます。
雪渓に雪切りされたトラバースを辿ると小屋はもう目の前。
お疲れさまでしたっ!
さて、ところでこの連休は単に天気が悪いというだけでなく、今現在上空に居座っている「寒気」への注意が必要です。
具体的に云うと、ひとつは「低体温症」で、もうひとつは「雷」です。
先ず「低体温症」について。
上空5000m付近で−6℃の寒気が居座っているわけですが、これが3000mだと単純計算(0.6℃/100m×2000m差)で+6℃となります。
実際、今日(18日)正午の穂高岳山荘付近の気温は+7℃でした。
そして現在稜線では風速10m以上の風が吹いていますので体感気温は氷点下ということになります。
例えば上高地から岳沢経由で奥穂高岳を経て穂高岳山荘を目指したとすると、途中雨に降られて濡れた身体で強風の吊尾根を歩かねばならず、それは容易に低体温症に陥る状況であるのです。
十分な水分と栄養の補給を行い、しっかりとした装備を携え、何より標高差1700mを歩ききる体力があれば、あるいは大丈夫かもしれません。
でもそうした悪条件下では些細なミスやトラブルがいとも容易く重大かつ悲惨な結果となってしまう。
そのリスクはしっかり考える必要があると思います。
それから「雷」。
街にいれば雷が鳴ったところで何という事もありません。
しかし、森林限界を越えた稜線で遭う雷の恐ろしさというものはトンデモナイです。
雷鳴が真ヨコで鳴ります。
あるいは足元で轟きます。
私はレスキューに赴いた前穂北尾根で突然の雷に遭遇し、あまりのオソロシさにハーネスもガチャもホッポラカして岩溝でただただ震えたことがありました。
(岩溝って雷の通り道になるんやって、漫画「岳」を読んで初めて知った…)
これまた吊尾根を例にしますが、もしも吊尾根の真ん中で雷に遭ったらどう対処しますか?
まぁ ぶっちゃけ、運を神に祈るくらいしか私は思いつきません。
なので雷は(雪崩と同じように)「遭わないようにする」しか対処のしようがないと思うのです。
そして下界が30℃超というときに500hPaで−6℃の寒気というのは、いわゆる「大気の状態が不安定」というアカンやつなのです。
雷の発生は十二分に考えられると思います。
さて実は今日、私は上高地から岳沢経由で穂高岳山荘へ戻る予定であったのですが、この寒気の存在により予定を変更し涸沢経由で入山しました。
つまり上に記したのは、今朝私が上高地を発つ時にアタマの中で行ったシュミレーションであったのです。
結果的には涸沢付近でかなり風雨が強くなったこともあり、まぁ正解やったかなと。
「今日、吊尾根行っとっても、あんましシアワセにはなられへんかったで」と、ちょっとだけクヤシさもありつつ呟いたのでした。
これで夏山開幕!となれば良いのですが、あいにくここ数日はまだ天気が悪そうですね。

(2014/07/18 8:30am)
さて、今日は涸沢経由で入山しましたので、以下はこの連休に穂高登山を計画されている方へのルート情報です。

涸沢ヒュッテまで30分ほどの所で雪渓が現れます。
しかしここは斜度もありませんし数十メートルで終わるのでアイゼンなどは必要ないでしょう。

涸沢ヒュッテと涸沢小屋の分岐手前からまた雪渓となり少し斜度が増します。
登りは問題なくても下りは軽アイゼンなどがあった方が歩きやすいでしょう。
涸沢からザイテングラードに取り付くには2つのルートがありますが、
涸沢ヒュッテからのパノラマコースは未だほとんどが雪に覆われていますので、
ヒュッテからであっても一旦涸沢小屋を経由して登る方が雪渓を歩く距離が短くて済みます。

涸沢小屋からしばらく灌木帯を登ると広い斜面に出ますが、ここからがモンダイ…
ここは広い雪渓に覆われていて迂回する事は出来ません。
晴れていてある程度日差しがある時であれば雪渓の雪も緩むのですが、今日のように雨の日には雪渓はカチカチになります。
雪に慣れておられる方ならアイゼンなしでも登れるとは思いますが、アイゼンをした方がずっと歩きやすいし安全です。
我々も当然アイゼン装着しました。

こんな感じでまだまだかなりの距離の雪渓を歩かねばなりません。
登りはともかく下りは軽アイゼンでもよいから何か滑り止めが欲しいですね。
滑落して命を落とすような斜度ではないにせよ、何もなしにこの雪渓を下るのはちょっとした技術と気合いが必要です。

ザイテングラートへの長いトラバースへ辿り着くと、もうルートにほとんど雪はありません。

ザイテン取り付き脇の急峻な雪渓はご覧のとおり「雪切り」が施してあるので問題なく通過できます。

取り付き直下で現れる雪渓も問題とならないでしょう。

ザイテングラートは途中いくつかルートが別れている箇所がありますが、出来るだけマーキングに忠実に歩いてください。
その方が楽に歩けますし安全です。
また下る際は涸沢へ向って進行方向右側の「あずき沢」へ下りないように。
一見するとザイテンより歩きやすそうな一定の斜面に見えますが、踏み込むと足元がグズグズの質の悪い悪場ですし、付近の植生も荒らしてしまいますので。

ザイテンの急登を登り詰めるとやがてまた左側に雪渓が現れます。
雪渓に雪切りされたトラバースを辿ると小屋はもう目の前。
お疲れさまでしたっ!
さて、ところでこの連休は単に天気が悪いというだけでなく、今現在上空に居座っている「寒気」への注意が必要です。
具体的に云うと、ひとつは「低体温症」で、もうひとつは「雷」です。
先ず「低体温症」について。
上空5000m付近で−6℃の寒気が居座っているわけですが、これが3000mだと単純計算(0.6℃/100m×2000m差)で+6℃となります。
実際、今日(18日)正午の穂高岳山荘付近の気温は+7℃でした。
そして現在稜線では風速10m以上の風が吹いていますので体感気温は氷点下ということになります。
例えば上高地から岳沢経由で奥穂高岳を経て穂高岳山荘を目指したとすると、途中雨に降られて濡れた身体で強風の吊尾根を歩かねばならず、それは容易に低体温症に陥る状況であるのです。
十分な水分と栄養の補給を行い、しっかりとした装備を携え、何より標高差1700mを歩ききる体力があれば、あるいは大丈夫かもしれません。
でもそうした悪条件下では些細なミスやトラブルがいとも容易く重大かつ悲惨な結果となってしまう。
そのリスクはしっかり考える必要があると思います。
それから「雷」。
街にいれば雷が鳴ったところで何という事もありません。
しかし、森林限界を越えた稜線で遭う雷の恐ろしさというものはトンデモナイです。
雷鳴が真ヨコで鳴ります。
あるいは足元で轟きます。
私はレスキューに赴いた前穂北尾根で突然の雷に遭遇し、あまりのオソロシさにハーネスもガチャもホッポラカして岩溝でただただ震えたことがありました。
(岩溝って雷の通り道になるんやって、漫画「岳」を読んで初めて知った…)
これまた吊尾根を例にしますが、もしも吊尾根の真ん中で雷に遭ったらどう対処しますか?
まぁ ぶっちゃけ、運を神に祈るくらいしか私は思いつきません。
なので雷は(雪崩と同じように)「遭わないようにする」しか対処のしようがないと思うのです。
そして下界が30℃超というときに500hPaで−6℃の寒気というのは、いわゆる「大気の状態が不安定」というアカンやつなのです。
雷の発生は十二分に考えられると思います。
さて実は今日、私は上高地から岳沢経由で穂高岳山荘へ戻る予定であったのですが、この寒気の存在により予定を変更し涸沢経由で入山しました。
つまり上に記したのは、今朝私が上高地を発つ時にアタマの中で行ったシュミレーションであったのです。
結果的には涸沢付近でかなり風雨が強くなったこともあり、まぁ正解やったかなと。
「今日、吊尾根行っとっても、あんましシアワセにはなられへんかったで」と、ちょっとだけクヤシさもありつつ呟いたのでした。
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