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2013年04月 Archive

たのむ…

  • Posted by: Hachiro
  • 2013-04-29 Mon 20:26:48
  • 穂高
事故が起こってしまった。


除雪をしていたら奥穂の雪壁から叫び声とともに人が落ちてきた。

見るからに重傷だがそれでも確かにまだ息のある要救助者を、山荘のみんながそれぞれの立場で力を尽くしヘリ収容した。

誰も言葉にはしなかったけれど「たのむ… なんとか助かってくれ」と心の中で祈りながらことにあたっていたと思う。




夕刻、岐阜県警を通じて一報が入った。
まだ集中治療室に入っていて予断はゆるさないけれど、なんとか一命は取り留めたと。


よかった…
ほんとうによかった と少しだけ安堵。


重苦しかった仲間たちの表情もちょっと明るくなった。






…それにしても、
レスキュー対応の真っ只中に、
「事故があったと聞きましたがその人は生きているんですか? 死んだんですか?」と電話をかけてきた某テレビ局、
あまりの腹立たしさに「そんなもんっ! しらんわい!!」と思わず電話を叩ききってしまったが、
少なくとも我々は現場で全力を尽くしてその人を救おうとしている。

その相手に、そんなこと聞いてくるなよなと思う。






〈スミマセンです  今日は何も写真はありません〉

































営業初日

  • Posted by: Hachiro
  • 2013-04-28 Sun 23:28:51
  • 穂高
今日から穂高岳山荘の2013年度営業が始まった。


025O0092.JPG
(2012/04/28  9:50am)



夜明け頃はまだ「冬」という感じで風も強く視界もあまり良くなかったが、
次第に青空が広がり陽光降りそそぐ「春」となった。


だが昨日の降雪は小屋周辺で1mに達しようかというほどで、
当然、涸沢からのルートはちょっと踏み込めるはずもなく、
今年の営業初日は開店休業となっても致し方ないと思っていた。



ところが、午前8時過ぎの単独行の方を皮切りに、
(この方は加藤文太郎か? というほど足が早く強い方であった)
涸沢岳方面からポツリポツリと登山者の姿が現れ、
計3パーティ11名の方々が皆、果敢に奥穂山頂へと向かってゆくではないか。




025O0103.JPG
(2012/04/28  11:40am)



聞けば皆さん「涸沢岳西尾根」からとのこと。


そう。
もしも自分が今のコンディションで穂高稜線を目指すなら「西尾根」かなぁ… とは考えていた。
涸沢岳西尾根は雪崩をさけて尾根筋を辿る冬の穂高のメインルートである。

でも大型連休のこの時期にわざわざトレースする方はそうはいない。
それに通常は2400m付近で幕営し、そこから蒲田富士、涸沢岳を経て奥穂高岳までをピストンするという長丁場となり、
痩せた雪稜や岩稜も辿る技術的、体力的に易しいルートではない。


今日お見えになったのは社会人山岳会の方がほとんどであったようだが、
1パーティが白出のコルで幕営、そして最後のお一人は素泊まりでのご宿泊で、今シーズン初のお客さんとなられた。


明日はみなさん涸沢へ下山とのこと。
今日の午後、涸沢まではチラホラ人影も見られたが涸沢と稜線の間は未だトレースはない。
もちろん白馬の雪崩事故はご存知であるし、涸沢もどこで雪崩れてもおかしくないリスクはあると思う。
出来るだけザイテンを辿り慎重な行動をお願いした。



















































風雪

  • Posted by: Hachiro
  • 2013-04-27 Sat 09:48:14
  • 穂高
いやはや強烈な吹雪が続いている。

除雪した玄関はもとより2階の窓までほとんど埋まってしまい、
山荘スタッフの新人君はこのあまりの有様に「マジっすか!?」と驚いていた。

で、なんとか除雪を試みようと悪戦苦闘して外へ這いでるも、あまりの風雪にわずか5分で敗退。
新人君曰く「外へ出て30秒で命のキケンを感じましたわー」とのこと。


130427.jpg
(2013/04/27  8:30am)



雪はまだ降り続いているが現時点で小屋周辺で30〜40㎝ほどであろうか。

涸沢では新たな積雪が50㎝に達していて吹き溜まりでは1mを超えているらしい。
これをうけて横尾から上部は今朝から登山規制となっていて現在は入山できない。

明日以降は天候の回復も見込まれるが晴天となったからといって雪崩の危険がなくなるわけでもなく、
状況を見定めるのはなかなかに難しいと思う。




今朝のYahooのトピックスで「GWは前・後半とも行楽日和」というのがあった。

これはあくまで下界での天気予報であって山は少し違った見方の予報が必要だ。
週間寒気予想」というサイトがあってよく参考にさせてもらっているのだが、
山の天気を考えるのにこの「寒気」というやつがクセもので寒気が悪さをすると高気圧圏内であっても必ずしも山は晴れない。


ちょっと専門的なことでいうと現在はシベリアの東に「ブロッキング高気圧」というやつがデンと居座っており、
おかげで日本付近に寒気が入りやすい状態が続いているらしい。

なので4月中旬以降寒い日が多いのである。

3月にあまりにポカポカ陽気が続いていたので、こりゃあひょっとして山へ入る4月頃に寒さが戻るかもしれんとイヤぁな予感がしたのが的中してしまった。



どうやらこの寒気の入りやすい状態は大型連休中も続く見込みであるらしい。

…やれやれ。









































春と冬

  • Posted by: Hachiro
  • 2013-04-26 Fri 06:43:43
  • 穂高
昨日は入山以来の穏やかな晴天。
気温もぐんぐん上がって除雪も一気に進んだ。

この時期の重要な仕事のひとつに「水作り」があるのだが、それは除雪した屋根に雪をまいて融かし水にするというもの。
これは気温がある程度高くなって陽光が降りそそがないと出来ないのだが、昨日はかなりの量の水も確保できた。

まさしく「春」の一日。

除雪ロング_130422_06.JPG
(2013/04/25 1:30pm)







ところが今日は一転して風雪となった。


DSCF0024のコピー
(2013/04/26  3:50pm)


この時期としてはかなり強い寒気(500hPa=上空5000mで−30℃)というのが襲来しているそうで、
ゴーゴーと唸りをあげて吹雪く様はまったくの「冬」
事実、気温も昨日に比べて10℃以上下がっていて午後5時現在で−9℃、積雪も新雪が20㎝を超えた。


昨日の陽光で表面がいったん緩んだ雪面に、今日(明日も?)の積雪…


これはもうどう考えても新雪表層雪崩が発生する典型的なパターンである。



明日、明後日と山へ入られる予定の方も多いと思いますがくれぐれもご注意下さい。
特に明日、沢筋に入るのはヤバいです。




この時期はほんとうに「春」と「冬」とが交錯する。
それだけにコンディションの変化が激しく、登山においては自然の罠に陥りやすいのではないだろうか。

明後日に営業開始を控えて多くの方々に穂高を満喫していただきたいのはやまやまなのだが、
休日という人間側の都合だけで自然をとらえるのは甚だ危険度が増す。
山の都合(状態)というものをしっかり考えて捉えることはとても大切だと思う。


機嫌が悪いときに近づかないほうが良いのは人も山も同じなのだ。



残念ながら現時点での穂高はそうとう不安定な状況にある。







































寒いです

  • Posted by: Hachiro
  • 2013-04-23 Tue 05:53:49
  • 穂高
いやぁ…    寒い。

全国的に気温の低い状態らしく各地で雪だの氷点下だのと聞こえてくるが、
いわんや穂高稜線においておや である。

晴れて冷え込んだ昨朝は−13.5℃まで冷え込んだのだがその数字以上に強烈な寒さであった。

厳冬期の寒さも知らぬわけではないのだが、気合いの入りかたなのか根性の足りなさなのか、
ともかく寒い。


130422 朝
(2013/04/22  5:05am)




ところで涸沢では大きなデブリが各所に出ている。

まだ山小屋の営業前なのだが、上高地にバスが開通したからなのか登山者の姿がチラホラ見られる。
雪崩には十分ご注意を…  と、云っても雪崩の予測ははなはだ難しい。

ともかく降雪中と降雪直後は要注意です。



130421 デブリ
(2013/04/21  2:50pm)






































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