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2013年05月09日 Archive
白出沢
- 2013-05-09 Thu 17:12:28
- 穂高
昨日、白出沢(しらだしさわ)で死亡事故があった。
いろいろな意味でとてもショックである。

(2012/04/24 白出沢俯瞰)
お亡くなりになったのは地元の飛騨高山で病院を営む医師の方であり、
この方は山の経験、実績、実力ともに十分お持ちのエキスパートであったと伺っている。
昨日の穂高は快晴ではあったがとんでもない強風が朝から吹き荒れていた。
しかもその風向きは通常とは逆の東からであった。
特に小屋の東側(涸沢側)では立っていられないような嵐風が吹き、午前中は屋外での作業をあきらめざるを得なかった。
事故の原因は落石による滑落とのことだが、この強風が何らかの影響を及ぼしたのかもしれない。
そしてここ数日は気温も上昇傾向で、ガチガチに固まっていた山が少しゆるみ始めてもいた。
しかしそのような山の状況は「今から考えれば」というものであって、
事故当日の昨日はこの上ない晴天でもあったのだ。
それも春のこの時期にしては珍しくどこまでも見渡せるほどに澄んだ青空の…
前日の7日には山荘関係者が白出沢を下山しているし、
仮に事故当日の昨日に私が下界から入山予定であったとすれば、おそらく何のためらいもなく白出沢を登路にしていたと思う。
そして稜線の強風を行動中に察知出来たとも思えない。
つまりその日に存在していたであろう山のリスクに対して、
現地を知りつくした者であっても、それを避けることは難しかったと感じる。
白出沢は我々穂高小屋の人間にとっては云わば通勤路みたいなルートである。
古くはボッカ道として小屋の生命線であったし、現在でも下界と小屋とを最短時間(&距離)で結んでいる。
しかし残雪期には落石のリスクが高いルートであることも確かで、
私が新人の頃、入山途中に谷を向いて休もうとしたところ先輩に「そんな休み方したらラク(落石)が飛んできてもわからんやないかっ!」とたしなめられた事を覚えている。
穂高岳山荘90年の歴史の中で、白出沢で従業員が落石事故に遭ったというのを聞いたことがないのだが、
それは単に今まで運が良かっただけなのかもしれない。
近々下山を予定しているが、今のコンディションではヘルメットを着用して涸沢へ降りるしかない。
今春の大型連休には穂高で死亡事故が起きなかったことに胸をなでおろしていた。
なのでこの訃報は残念でならないし、
事故現場が我々の親しむ白出沢であり、
状況からして我々が事故の当事者となっていても何らおかしくもなかった訳で、
二重三重の意味で悲しい出来事である。
お亡くなりになられた方のご冥福を心よりお祈りさせていただきます。
いろいろな意味でとてもショックである。

(2012/04/24 白出沢俯瞰)
お亡くなりになったのは地元の飛騨高山で病院を営む医師の方であり、
この方は山の経験、実績、実力ともに十分お持ちのエキスパートであったと伺っている。
昨日の穂高は快晴ではあったがとんでもない強風が朝から吹き荒れていた。
しかもその風向きは通常とは逆の東からであった。
特に小屋の東側(涸沢側)では立っていられないような嵐風が吹き、午前中は屋外での作業をあきらめざるを得なかった。
事故の原因は落石による滑落とのことだが、この強風が何らかの影響を及ぼしたのかもしれない。
そしてここ数日は気温も上昇傾向で、ガチガチに固まっていた山が少しゆるみ始めてもいた。
しかしそのような山の状況は「今から考えれば」というものであって、
事故当日の昨日はこの上ない晴天でもあったのだ。
それも春のこの時期にしては珍しくどこまでも見渡せるほどに澄んだ青空の…
前日の7日には山荘関係者が白出沢を下山しているし、
仮に事故当日の昨日に私が下界から入山予定であったとすれば、おそらく何のためらいもなく白出沢を登路にしていたと思う。
そして稜線の強風を行動中に察知出来たとも思えない。
つまりその日に存在していたであろう山のリスクに対して、
現地を知りつくした者であっても、それを避けることは難しかったと感じる。
白出沢は我々穂高小屋の人間にとっては云わば通勤路みたいなルートである。
古くはボッカ道として小屋の生命線であったし、現在でも下界と小屋とを最短時間(&距離)で結んでいる。
しかし残雪期には落石のリスクが高いルートであることも確かで、
私が新人の頃、入山途中に谷を向いて休もうとしたところ先輩に「そんな休み方したらラク(落石)が飛んできてもわからんやないかっ!」とたしなめられた事を覚えている。
穂高岳山荘90年の歴史の中で、白出沢で従業員が落石事故に遭ったというのを聞いたことがないのだが、
それは単に今まで運が良かっただけなのかもしれない。
近々下山を予定しているが、今のコンディションではヘルメットを着用して涸沢へ降りるしかない。
今春の大型連休には穂高で死亡事故が起きなかったことに胸をなでおろしていた。
なのでこの訃報は残念でならないし、
事故現場が我々の親しむ白出沢であり、
状況からして我々が事故の当事者となっていても何らおかしくもなかった訳で、
二重三重の意味で悲しい出来事である。
お亡くなりになられた方のご冥福を心よりお祈りさせていただきます。
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