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酷寒の中で

  • Posted by: Hachiro
  • 2018-01-25 Thu 17:15:57
  • 穂高
ここのところの「数年に一度の強烈な寒波」襲来という最中、事もあろうに氷の滝登りに行っておりました。


180124 南沢_005
(2018/01/24 八ヶ岳・南沢大滝)


アイスクライミングの対象となる滝というのは、あたり前の話ですがたいてい沢筋にあるので雪崩のリスクを考えねばなりません。
まして今回の強い寒気の中ではなおさらです。
なので転戦や中止も含めての思いが渦巻いておりました。
降雪の程度や天気動向、アプローチのラッセルや積雪状態、あるいは風の状況… 
山へ入るにあたって考慮すべきファクターはいっぱいあるわけで、それをさまざまにあーでもないこーでもないと考えてはいたのです。

でも結局は「ま、ダイジョウブちゃうん」ということで、、、


180124 南沢_141


いつまで経ってもバランシーに攀じれないヘタクソの私がむやみやたらとアックスを握りしめ、−15℃にもなろうかという酷寒の中で腕を振り続けていますと、すぐに指先に血が廻らなくなって手が冷え切ります。
その感覚のなくなった手も、登りきってしばらくすると再びまた指先に血が巡り始めるのですが、その時にはちょっと言いようのないほどの猛烈な痛みを伴います。
それを私たちは「カイトウ(解凍)状態」と呼ぶのですが、そのカイトウ中の激痛に唸り声をあげ、
あるいはビレイ中のあまりの寒さに「さっ、さっ、さっ、寒ぅぅぅううう‼︎」と吠えながら、
鼻水をたらしつつ氷と戯れるとは、なんちゅうドM、、、 ホンマにアホとしかいいようがありません。


まあそれでも、それをけっこう嬉々としてやっているのだから我ながらどうしようもない。


さて、昨日の状況を私が「100パーセント安全」と思っていたのかというと、そうでもないです。
結果としては無事に、そしてけっこう満足できるほどに楽しんだのですから問題ないといえばそうです。
でもその結果オーライを素直に喜ぶのもどうやねんと。

そもそも山に「絶対の安全」などはありえません。
登山とは敢えて危険に身を晒す行為であるわけで、家でじっとしていれば遭うこともない厄介ごとが其処此処に山積しています。
クライミングを含む山登りはもとより、レジャーとして雪に遊ぶスキーやスノボ(特にバックカントリー)であっても多かれ少なかれ危険は潜在しているのです。
だから自由意志としてそれを行う者は、すべからくそのリスクを回避すべく務めねばならないことは当然です。
そしてそうした自然の罠を回避するための技量や技術は、周囲の指導や技術書からではなかなか本当の力というのはつかないものであって、ましてやネットなどの情報だけの聞きかじりでは何の意味もないでしょう。
山の力をつけるには、自らが汗をかいて山を登る以外にはあり得ません。
多少ビビりながら、あるいは逡巡しながら、時には敗退もしたりして、それでも己を奮い立たせて一生懸命登る以外に術はないのです。
そしてその経験が過酷かつ困難であればあるほど人は成長できるものでしょう。
「山で死なない程度に酷い目にあうことこそが山人としての財産だ」とは誰が言ったのだったか、
そう、もちろんその過程で命を落としてしまったのではダメなわけで、そこが難しいといえば難しい。

でも一方でこんなことも思うのです。
私はある程度の山の経験(特に穂高では)を経てきています。
それで安全に山をやれるようになったのかというと、自分ではぜんぜんそうは思えません。
むしろ「こんな危ないことしとったら、いずれやられるんちゃうか」という思いが増すばかりです。
長年山にいるからといって山のことがわかるようになったのかというと、山というものを知れば知るほど畏れを抱くようになったというのが正直なところ。
例えば私は残雪期の白出沢を「通勤路」としてこれまで幾度となく登り降りしてきているわけですが、確かにアイゼンワークやコンディション判断などは上達してきたかもしれませんけれど、根本的にそこに存在する危険を回避できているわけでもないと思うのです。
つまり危ないことを一度しかしないビギナーよりも、いくら技量があったとしてもそれを100回以上行う人間の方が遥かにリスクは高いのではないのかと。


わずかばかりの人間の経験など自然の前では何ほどのものでもないよな、、、


冷えすぎてジンジンする指先でハンドルを握りながら、そんなことを考えながら雪道を帰ってきた次第です。




































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