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若き日の山

  • Posted by: Hachiro
  • 2017-03-15 Wed 11:20:36
  • 穂高
先日、知り合いの某山岳雑誌の編集者の方から、ある一冊の本を送っていただきました。
その本とは、串田孫一 著「若き日の山 」 (ヤマケイ文庫)


若き日の山


この随筆集は、氏の有名な「山のパンセ」の前に書かれたご自身初の山の本であったとか。
それが今回再文庫化されるにあたって、表紙や文中に串田さんの秀逸なイラストが配され、原著のもつ雰囲気を大切にされた装丁となっています。

この著書は以前に他の出版のものを読んがことがあるはずで、収録されているエッセイのタイトルも覚えのあるものが幾篇もありました。
でも、最初の「馴鹿の家」を読み始めてすぐに私はいったん頁を閉じました。
「あぁ、これはこんなに簡単に(無造作に)読み進めてはいけない……」と。

山に関わって生きてきた者のひとりとして、私は串田孫一さんほど人間の山への想いを正しく言葉にされた方はいないと思っています。
もちろん、人それぞれの山があり、人それぞれの山の感じ方や関わり方がありましょう。
実際、山に関する名著は数多くあります。
ただ不遜を承知で言わせていただければ、私個人にとっては串田さんの紡ぐ言葉は、まさしく自分が山へ抱く想いを表してくれているのです。

そりゃあ私ごときがあれほど格調高い文章を記せるはずもありませんし、そんな語彙力もありません。
でもその言葉が伝えてくれる空気感のようなものは、間違いなく自分が山で感じている心の在りようでなのです。

「風の伯爵夫人」「別れの曲」「氷の岩峰」「孤独な洗礼」……
その珠玉の名篇たちは、自分と山との間にある「確かに存在するけれど言葉にはできない何ものか」を、見事に表してくれていると思えます。

例えば「夕映え」という一編に描かれているその情景は(携えているものがスケッチブックとキャメラとの違いこそあれ)、私が幾度も過ごしてきた夕暮れの山での刻そのものです。



131017 涸沢岳より_03
(涸沢岳よりの夕映え)



さて、小屋開けまでもうひと月の迫ってきて、何かと慌ただしいこの頃ですが、幸い今日、明日は特別な予定もありません。
おまけにおあつらえむきの「なごり雪」も舞っています。

自宅からほど近い登山口から、雪の中を2時間ほど歩いた某所に私のお気に入りの場所があります。
その無人小屋はいつ行ってもまず誰にも会うことはないし、何より良いのが携帯の電波も届かない。

コンロとシュラフと少々の酒を携え、もちろんこの「若き日の山」の文庫を忘れずに、今宵はそこへ向かうとしますか。






























Comments: 1

至福の月 URL 2017-03-15 Wed 11:40:57

良い秘密基地をお持ちですね。(^^;)

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