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夏の遭難発生場所

  • Posted by: Hachiro
  • 2016-08-06 Sat 10:24:18
  • 穂高
夏の穂高での遭難発生場所について。


ご存知のとおり、穂高には一歩間違えば命を失う場所というのが、それこそ無数にあります。
ほんの数センチの足がかりや手がかりに全てを託さねばならない際どい場所や、その通過には補助として設置してあるクサリの助けがなければ難しい場所も数多く存在します。
そうした「クサリ場」や「ハシゴ場」は地形がことさら険しい難路です。
また穂高には難所として名高い「ジャンダルム」や「ロバの耳」といった名の知れた険路も存在します。


160722 ロバの耳
(2016/07/22 「ロバの耳」)



ところが、実は穂高の遭難事故は、そうしたクサリ場などの見るからに危なそうな場所ではほとんど起きていません。


例えば奥穂高岳から西穂高岳へ向かう折に最初の関門となる「馬ノ背」という場所があります。
ここは文字通り両側がスッパリと切れ落ちた地形で、特に下りでは相当緊張させられる場所です。
ある時など、その 「馬ノ背」を通過してきたオジサン(その方は西穂から奥穂へと来たので“登り”であったのですが)が、穂高小屋へ駆け込むなり「なんで、あんなにオソロシイ場所にクサリがないンだ!」と憤懣やるかたないご様子でのたまわれたこともありました。
しかしです、僕が知る限り(つまり過去30数年間)、あの「馬ノ背」で遭難事故があったことは一度もありません。
なぜなら、あそこでは皆が必死になって岩にしがみついて通過するから(事実ホールドとなる岩角のあちこちが丸くなっています)でしょう。

つまり、あんなとんでもなくオソロシイ場所では誰も墜ちないのです。


160722 馬の背
(2016/07/22 「馬ノ背」)



160731 馬ノ背2
(2016/07/29 「馬ノ背」)




ところが、穂高で今夏に起きている死亡事故を見ると、そのほとんどが「一見なんでもない場所」で起きています。



160801 西穂ピラミッド付近_t
(2016/08/01 西穂・ピラミッドピーク付近)


上の写真は西穂の独標付近から西穂山頂方向・ピラミッドピークあたりを見たものです。
ちょうど登山者の写っている左のピーク付近では過去に何件もの事故が発生していました(ある夏にはこの場所で立て続けに3名もの方がお亡くなりになったこともありました)。
しかし数年前にクサリが設置されてからはその場所での事故は起きていません。
それはクサリの設置によって技術的に通過が易しくなったということよりも、クサリよってそこが「危険箇所である」ことが明示されたことの方が大きいのではないかと思います。

ところが今年の夏の初めころ、写真下のほうのなんでもない稜線で死亡事故が起きてしまいました。
その場所は、下りであればピラミッドピーク付近の気を使う岩場を通過してちょっとホッとしてしまう所であり、片側がハイマツに覆われていて一見危なそうには見えません。


ピラミッド手前
(2016/08/04 4:00a.m.)

ところが事故現場は、右側のハイマツの下は見えないけれど断崖絶壁になっていて、実際のルート幅はわずかしかありません。
ほんの少し足の置きどころを違えただけでひとたまりもない場所であるのです。



穂高岳山荘宿泊の多くの方が向かわれる奥穂〜吊尾根〜重太郎新道〜岳沢というコースにおいても、最も事故が多いのは「墜ちたらヤバい」とひと目でわかる吊尾根や重太郎上部のクサリ場ではなく、もう岳沢小屋が眼前に近づく重太郎新道下部(「岳沢パノラマ」を過ぎてからの)樹林帯においてであります。
およそ北アルプスでも屈指の急傾斜の登山道である重太郎新道、
奥穂から吊尾根を経てそのコースを下る多くの方は、後半でそうとう足に負担がくるはずです。
そして小屋も近づき周囲が樹林となると注意力もおろそかになるのかもしれません。
つまり体力的・精神的に事故を起こしやすい状況となるのです。
しかし、その周囲を樹林に覆われた一見なんでもなさそうなそのあたりは、左側(岳沢へ向かって)が奥明神沢へスッパリと切れ落ちた地形であり、転落すれば重大事故はまぬがれません。

今夏に大キレットであった死亡事故も「飛騨泣き」や「長谷川ピーク」といった難所とされる場所ではなく、その中間の「なんでもない場所」で起きています。


身のすくむような難所を通過して「ヤレヤレ」というときこそ危ない。

ただそんなことを言うと、穂高では四六時中緊張して歩かねばならないし、実際にはそんなことはなかなか出来ません。
でも「その場所で事が起きればどうなるか」という想像はできるかぎりすべきです。



そしてなんとか、その場所にひそむ「罠」を注意深く見破り、回避したいものです。































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