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ホワイトアウト

  • Posted by: Hachiro
  • 2016-05-01 Sun 16:26:32
  • 穂高
昨夜の悪い予想が現実となり、今日午後3時現在、穂高では3件のレスキューが発生してしまっています。

詳細は報道等に委ねますが(各報道が必ずしも正確とはいえませんけれど)、その3件とは、
・前穂(紀美子平?)付近で行動不能により救助要請
・コブ尾根の頭でビバーク中のパーティからの救助要請
・ジャンダルム〜ロバの耳付近でビバーク中のパーティよりの救助要請(2パーティが合流しており、内1パーティの1名が滑落し行方不明とのこと)
です。

何れも今日の天候回復次第、ヘリによる救助を行う予定でした。


しかし、今日は天気予報は大ハズレ、結局終日穂高稜線はホワイトアウトのまま過ぎてしまいそうです。


160501 風雪_1
(2016/05/01 7:00 a.m.)


昨日夕方から今朝にかけての積雪は小屋前で30〜40㎝、吹きだまりでは50㎝を越えていました。

当然、雪崩の危険性が非常に高くなっており、昨夜からの40名ほどの泊まりのお客さんには、少なくとも視界が効くまでは行動を見合わせた方がよい旨を朝食時にお伝えしました。

それで午前中は誰ひとり小屋から出発する方はおらず、みなさん小屋で待機してくださいました。

こうした時に難しいのは、なにもこちらが「行ってはいけない」と規制をかけたわけではないのですが、「では、どういう状況になれば動けますか?」と尋ねられると、その答えに窮してしまうところです。
お止めすることは出来ても、今度はGOサインを出すことがとても難しい。

正直なところ、こうして新雪が積ってしまった以上、100%安全な雪崩回避はあり得ないと言ってよく、
「みなさんそれぞれにご都合やご事情がおありのことはよく分かります。しかし今は、ご自身の命を守るために『山の都合』の方を優先してください。現状動くことは、山が許してくれません。」とお伝えするしかありませんでした。

今日は天気予報ではほぼ間違いなく晴天となるはずでした。
なので僕も視界が利いてくるのを心待ちにしていたのですが、結局終日ホワイトアウト状態は変わらずでした。


で、今宵の小屋は、なんと連泊率95%という事態になってしまいました。
(ふたつの熟練パーティの方がそれぞれ、アンザイレンのうえで涸沢と白出へ下山されました)

でも、こうしたことは山では起こりえることで、多くの方がじっと一日山小屋で動かずに居てくださったのはよかったと。
そしてある意味こうした日にこそ山小屋の実力が試されるのではなかろうか と、ロビーでの映像上映やおやつサービスあるいは夕食メニューの変更など、ささやかながらスタッフ一同「お・も・て・な・し」に努めさせていただきました。

どうか明日には青空の下、みなさん無事に下山されることを願うばかりです。



それにしても滅入ってしまうのは、昨日の滑落事故です。

それはなぜかというと、前日には「滑落防止ネット」の整備を行っていたし、当日も朝から登る方への注意喚起を繰り返し(正しいルートをたどっていただかないと、その「滑落防止ネット」の効果がないのです)、相当数の方が登り降りされて、お昼前ごろにはルートが「バケツ」(大きく安定したステップ)になって難易度が下がったのも確認していたからです。

実は僕としては「ああヤレヤレ、何とかこれで今日は事故なしで済みそうだ」と思い始めた矢先の出来事であったのです。
(なので思わず「なんでやねん!」と、地がでてしまって…)

その瞬間を目撃した者が周囲にはいないので、原因はわかりません。
でも正しいルートを普通にたどっていたなら墜ちるはずはなく、おそらく登りの方を避けようと脇へ大きくよけた瞬間にたまたま氷化した箇所に乗ってしまったのではないかと推測します。
なので滑落した方向が「滑落防止ネット」には引っかからない方へと墜ちてしまったのです。

現在も「重体」との状態が続いているようで、何とか助かって欲しいと祈らずにはいられません。

あの雪壁(報道では「ハシゴから転落」とも伝えられていましたが、あのハシゴから墜ちる人はちょっといないと思います)では、今の時期、滑落事故が絶えずに死亡事故もたびたび起きていました。
それを20年ほど前に、岐阜県警山岳警備隊の“レジェンド”たる谷口光洋さんによって「滑落防止ネット」が設置されました。
以来、墜ちた際にネットに引っかかっての骨折などはあったにせよ、死亡事故は一件も起きていません。

それは「死ななかった」のではなくて「死なせなかった」のだと思います。





だから、頼むから助かってくれ と。

それと今現在もビバークに耐えている人々、明日にはきっと晴れる、きっと助かる、だから、どうかがんばってほしい。



また明日は異常なほど気温が上がるとも、雪崩への懸念もなくなりません。












































Comments: 2

佐治 URL 2016-05-02 Mon 17:29:50

4/30、5/1とお世話になりました。夕食時と朝食時の八郎さんの無駄のないブリーフィングがとてもよく効いたと思います。あれこそ遭難予防と思いました。連泊したみなさん命びろいしました。ポップコーンありがとうございました。スタッフの皆様にも感謝をお伝えください。

koh4 URL 2016-05-01 Sun 20:19:32

私も30日に奥穂高岳へ登頂しました。
確かに梯子後の雪壁は難所です。 私の前に登られた方々も皆さん引き返されてました。
ただその中でも私が登頂出来たのは「滑落防止ネット」があったからです。 この存在がどれだけ心強かったか。 守られてるを感じましたし、事故っはいけないとも感じました。
昼前には若干、雪がダレてきてたので、嫌な予感はありましたが、本当に滑落事故が起きるとは。
せっかくのGW、残念です。

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