Home > 穂高 > 夜間救助

夜間救助

  • Posted by: Hachiro
  • 2012-05-05 Sat 17:48:39
  • 穂高
re-3
(2012/05/04 10:30pm 涸沢岳稜線にて)




ニュースで喧しく報じられているように、また山で悲劇がおこってしまった。


北アルプスでの遭難死亡者が8名となる惨事。

うち1名は穂高・涸沢岳でのものであるが、
その涸沢岳の一件では死亡者が6名となっていてもおかしくはなかった。



昨夜、涸沢岳で行ったレスキューの詳細をここに記すことはしないけれど、
一般の報道ではうかがい知れない壮絶な行いであった。



遭難場所が涸沢槍という難所であるのに加えて天候は吹雪、しかも夜、
稜線では気温-3℃で風速は20メートル以上、体感気温は-25℃にもなる。

諸状況を考えれば1名の遭難者を救うのでさえ困難かと思えるシチュエーション。
それが6名も…

正直なところ現場へ赴きつつも、仲間たちのことを考えれば、
どこで線をを引いて撤退するべきかを考えていたのが偽らざる心境であった。


だがそんな懸念なぞ関係なしに、いつしか関係者全てでの総力戦のレスキューとなっていった。

県警山岳警備隊、穂高岳山荘スタッフ、居合わせたドクターと看護士の方たち…
そのひとりひとりが、救助要請の第一報が入った午後7時頃から最後の要救助者を収容した午後11時過ぎ、
そして蘇生措置を行った深夜まで、それぞれのポジションやスキルのなかでの精一杯の戦いを繰り広げた。




re-2
(2012/05/04  涸沢岳稜線にて)




力を尽くしたにも関わらず、結果としては残念ながらひとりの方が命を落とされてしまった。

その方を背負ってきた若い救助隊員は悔しさでぼろぼろと泣いていたが、
僕はむしろ、あの状況下で6名すべてを山荘へ収容できたことが奇跡的だとも感じた。



収容後の措置で蘇生した方も数名いて、
外での救助活動に加えて、山荘内でのあの懸命な処置がなければ犠牲者の数はもっと増えていたと思う。

躊躇なしに自分たちの防寒衣類を与え、湯をわかし、部屋を暖め、処置に奔走する。
それも寝静まった一般の宿泊客の方々へ迷惑をかけることなしにである。


僕は過酷な現場でヘロヘロになってはいたけれど、
そんな仲間たちの頼もしくかつ素晴らしい行いに、改めて穂高岳山荘というものに感動した。



re_4.jpg
(2012/05/04  11:12pm 穂高岳山荘の土間玄関、担ぎ込まれた要救助者の処置を行う)





穂高で小屋番として身をおく以上、
こうしたレスキュー現場にたずさわることは結構ある。
今回はそんな経験のなかでもかなり過酷なものであったことは間違いない。



我々は漫画「岳」の三歩クンのようなスーパーマンでは決してない。

「できることはできるけど、できないことはできない」が信条の生身の人間だ。

でも僕たちにはそんないたらない自分をフォローしてくれる頼もしい仲間が大勢いる。

だから、三歩クンの口癖である“あの言葉”を、
今回は(自分を含めた)仲間たちへこそ捧げたい。



みんな、「よくがんばった!







※ ほんとうは、この「よくがんばった!」は、我々のレスキューの師であり仲間であった、故篠原秋彦さんの口癖でした。きっと、「岳」の作者の石塚さんもそんな想いを込めてくれているのだと思います。
















































Comments: 34

萌音 URL 2014-05-06 Tue 21:33:14

こんにちは。穂高岳のブログを読んでたらコチラのブログに辿り着きました。写真が綺麗でオシャレなブログですね。羨ましいです

どくとる・てぃっぷる URL 2012-05-15 Tue 17:23:56

Hachiroさま、そして穂高岳山荘に居合わせたみな様。 本当にお疲れ様でした。
みな様のチームワークが、ちいさな奇跡を起こしたのだと思います。

> 正直なところ現場へ赴きつつも、仲間たちのことを考えれば、
> どこで線をを引いて撤退するべきかを考えていたのが偽らざる心境であった。

> 我々は漫画「岳」の三歩クンのようなスーパーマンでは決してない。
> 「できることはできるけど、できないことはできない」が信条の生身の人間だ。
まさにその通りだと思います。

逆に奇跡はいつでも起こるものではないのが悲しい事実です。
山中でも街中でも、災害現場でも、救助に携わるものの一番の原則は「自身の安全の確保」だと教わりました。
そして、それをよくご存じのHachiroさんだからこそ、いろいろな思いを抱きながら行動されたのでしょうね。

あえてブログに記載してくださいまして、ありがとうございます。

ただ、このように、ギリギリのところで上手くいった救助の報告がなされる度に、少し心配になることがあります。
次に同じ様な状況で救助に当たらなくてはいけなくなった人達の背中を、無理に押すことにならないか。
「救助隊員は命がけで活動するのが当たり前」にならないか。

救助に出かけて、あきらめて撤退してもどるとき。 「助かるかもしれない命を見捨てた」という重荷を背負わずにすむように。
撤退して小屋に帰ってきた隊員達に、「よく頑張った! もどってきてくれてありがとう」と言って迎えてくれる仲間がいるから、また救助を続けられるのですね。

くまごろう URL 2012-05-14 Mon 08:12:47

「命を賭して」言葉では簡単に言えるけど、現場は壮絶だったのですね。
低い山に出かけるときでも「死ぬかもしれない」
常に心の片隅にあります。遭難者もその言葉が頭をよぎったことでしょう。
本当に助けていただいてありがとうございます。

さきくさ URL 2012-05-11 Fri 16:39:03

(心より)救助お疲れさまでした。
今回救助して頂いた方のうち一人は、以前何度か山でご一緒したことがある方でした。
生存者の中にその方の名前を見た時は、とても嬉しかったです。
助けて頂いて、本当にありがとうございました。

自分自身も山歩きをしますが、十分注意して歩きたいと思います。

wasa URL 2012-05-09 Wed 19:31:20

一文字一文字から深い感銘を受けました。

「若い救助隊員は悔しさでぼろぼろと泣いていた」
思わず映画「クライマーズ・ハイ」の「若い自衛官は」というシーンを思い出しました

   若い自衛官は仁王立ちしていた
   両手でしっかりと、小さな女の子を抱きかかえていた
   鳥はさえずり、風は悠々と尾根を渡っていくというのに
   自衛官は地獄に目を落とした
   そのどこかにあるはずの、女の子の左手を探してあげねばならなかった

淡々と綴られた事実の前に、誰もが口を差し挟む事は出来ないですよね
美しい人達と、美しい風景
言葉が見つかりません
それほどの事をあなた方は淡々とされているんですよね

涸沢岳に抱かれた方に合掌

wasa URL 2012-05-09 Wed 19:27:14

一文字一文字から深い感銘を受けました。

「若い救助隊員は悔しさでぼろぼろと泣いていた」
思わず映画「クライマーズ・ハイ」の「若い自衛官は」というシーンを思い出しました

   若い自衛官は仁王立ちしていた
   両手でしっかりと、小さな女の子を抱きかかえていた
   鳥はさえずり、風は悠々と尾根を渡っていくというのに
   自衛官は地獄に目を落とした
   そのどこかにあるはずの、女の子の左手を探してあげねばならなかった

淡々と綴られた事実の前に、誰もが口を差し挟む事は出来ないですよね
美しい人達と、美しい風景
言葉が見つかりません
それほどの事をあなた方は淡々とされているんですよね

涸沢岳に抱かれた方に合掌

えつ URL 2012-05-08 Tue 21:50:59

5月4日、午後に奥穂高岳から降りてきたとき、岐阜県警の山岳救助隊の方が心配そうに空を眺めていました。あのあとに、天候が悪化して、涸沢ヒュッテの自分のテントで一夜過ごすのに、とても大変だった頃、みなさんもっとたいへんな思いをされていたのですね。朝になってヘリが強風の中で飛んでいたので、心配していました。あの日は天候の急な悪化でした。救助に携わった方、本当にお疲れ様でした。

URL 2012-05-08 Tue 21:20:46

大変なレスキュー、お疲れさまです。山荘の皆さんには感謝2です。

URL 2012-05-08 Tue 12:41:35

捜索活動が行われていた当日、テント泊をしていた者です。
その日5/4は昼前から吹雪き、我々もその日に涸沢岳、西穂高岳を目指していましたが
途中にちょうど良いテン場がないことと悪天候で早々と穂高岳山荘でテントを張ることを決めました。
夜10時頃尋常でない喧騒がありましたが、吹雪で外をうかがうことはしませんでした。
まさか近くでそんな重大な事故が起きていたとは・・・山の怖さを改めて痛感しました。
救助活動にあたられた方のご苦労に感謝します。
そして亡くなられて方のご冥福をお祈りいたします。

yosi URL 2012-05-07 Mon 15:21:13

天候不順が予想されていたので、ニュースを見てやはりあったか・・・という感想を持ちましたが、同時にこの状況下でこれだけ迅速な救助をされたことに驚きました。

2年前のGWに穂高岳山荘に泊まらせていただいた際に、従業員の方にかけていただいた言葉や岐阜県警の方が、あの急峻な奥穂へ向かう登山者を見守っておられる姿を思い出すと感慨深いものがありますが、亡くなられた方のご冥福と共に、事故の減少、救助隊の方々の今後のご健闘をお祈りいたします。

tomotomo URL 2012-05-07 Mon 13:47:11

単純に感心しました。あのルートで夜間、吹雪、人力で救助、しかも短時間。お疲れ様でした。

ponchan URL 2012-05-07 Mon 11:00:00

救助に携わった全ての関係者の皆さま、本当にご苦労さまでした。
心より敬意を表します。

以前、講演で救助のことや故篠原氏のお話など山の楽しさ、厳しさを
お聞きする機会がありました。今回、結果は残念なことになりましたが
ブログに掲載していただくことで、あらためて真剣に、また厳しく考え、
そして楽しく山に向かえるのだと思います。

亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

Ca2 URL 2012-05-07 Mon 09:42:19

救助お疲れ様でした。
数十秒のテレビニュースで知るぐらいでしが、こうやった記録(WebのLog=ブログ)があると、本当にあったんだと、ほんの少しですがより深く知ることができました。
多くの人が救助、助けるために動いているんですね。ありがとうございました。

少尉 URL 2012-05-07 Mon 06:42:05

ははじめまして、亡くなった方は僕のク
ライミングの師匠でした。
救助に携わっていただきありがとうございました。
今年の夏に伺いますので、遭難場所を地図で教えていただけませんでしょうか。
よろしくお願いします。

URL 2012-05-07 Mon 00:36:25

皆様、ほんとうにお疲れ様でした。
山が大好きです。大好きな場所でもいつなにが起こるのかは誰にもわかりません。
これらの情報は山のほんの一部分かもしれないけれど、記すためには計り知れない過去やプライドや愛情や暮らしがあるのだと思います。
皆様の安全をお祈りしております。

yousuke URL 2012-05-07 Mon 00:04:29

大変お疲れさまです。
当日は僕も昼に小屋によって休憩してたので、その数時間後の出来事に人ごととは思えませんでした。
午前に奥穂高の状態を聞いたら丁寧に教えてくださった隊員の方もおられたのでしょう。
進むか迷っていた僕はそのアドバイスを糧に登頂・下山しました。
救助だけでなく遭難発生防止にもみなさんの言葉が活きているのを実感しました。

 林修巳 URL 2012-05-06 Sun 21:20:12

自分の身を挺して他人を助けるとゆうのは並大抵のことではありません。救助に当たられた皆さんの勇気と行動に頭が下がります。

佐治 URL 2012-05-06 Sun 20:46:08

救助活動は慣れていらっしゃるとはいえ、この時間から6人をヘリなしで収容するということの大変さは想像を超えます。書いていただいてよかったと思います。6日も滑落がでたと聞いています。毎年GWでも夏でも、必ずある頻度でおきることではありますが、みなさまのご努力は他のかたにも知っていただきたいところです。

元山岳救助隊 URL 2012-05-06 Sun 13:39:35

消防局救助隊様 ←彼らは,簡単になんか書いていない.関わったのでもない.主体的にやっている.そして彼らにとってそれがいつものこと.ここでは,その”いつものこと”が冷静に記されている.このことは山の安全についてもっと考えて欲しいというメッセージにもなっている.こうした”啓蒙”の何がいけないのか.記事を書く行為が自慢と勘違いされることを恐れて,事実を心に押し込めたままにするほうがもっと問題なのではないか?Authorがどれほどの自制心と真心を持ってこれを書いているか,あなたは,気づかないのか.

higuno URL 2012-05-06 Sun 13:24:09

お疲れ様でした。
本当に・・・・
ちゃんとした装備無しでレジャーの様に山へ行く人が一杯です。
何かあった時を想定して、ちょっとビビった感があった方が慎重になるよなぁ。

テーマパークではないので最低、自分の安全は自分で守る様に整える様に心掛けます!

しんや URL 2012-05-06 Sun 12:33:10

できることはできるけど、できないことはできない

読んで胸にくるものがありました
警鐘受け止めたいと思います


minami1105 URL 2012-05-06 Sun 12:13:24

5/5涸沢岳を登った者です。山頂にあったザックやロープ、ピッケルが無造作に置いてあるのを見て不審に思ったのですが、まさか前夜にそのような事故が起きていたとは思いませんでした。
過酷な状況の中、救助にあたった皆様、本当にお疲れ様でした。そして僕からも言わせて下さい。よく頑張った!

solo-take URL 2012-05-06 Sun 12:01:02

前日にテント張っていて当日下山した者です。
3日の事故に続き本当にお疲れ様です。
今回の件は教訓とさせてもらい、安全登山に繋げて行きたいと思います。

kokemaru URL 2012-05-06 Sun 10:49:03

改めて山の怖さを思うこのゴールデンウィークでした。中高年の方達が登山に出かけるのは素晴らしい事だけど、山では想像を超えた事態があり得る事だけは忘れてはいけない。ほんとに必要十分な装備なのか、天候の変化にアンテナを張り巡らしているのか、技術に問題は無いのか。自分に問うて山に出掛けてほしいものです。

Oscar URL 2012-05-06 Sun 10:24:19

お疲れ様でした。
すべての亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

救助の現場を知るということで、我々の安全への意識も高まります。
全ての登山者にとって、重要な情報を伝えていただいていると認識しています。

某政令市消防局救助隊殿 >
機密情報でもあれば別ですが、救助に関わったことをブログに書くという事に何も問題は無いと思います。
救助のプロの立場から、ブログへの掲載に苦言を呈するのであれば、簡単にその理由を述べて頂いた方が納得できるかと思います。

URL 2012-05-06 Sun 10:01:21

お疲れ様でした。
そして亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

jas URL 2012-05-06 Sun 09:51:40

同じ夜、白馬山荘にいました。
山荘にやっとたどり着いた次第で、
あの日の吹雪は壮絶だったと実感しています。
こちらでも、なかなか到着しないグループの無事を祈っていましたが、
穂高でも同じようなことが起こっていて、
あの夜、あの吹雪の中に出動された多くの方々にただただ頭がさがります。
二次遭難の危険が多分にあったでしょうに。

皆さんの勇気と努力を本当に素晴らしいと思うとともに、
登山者も、もっともっといろいろな注意、情報収集、自分の限界を知ることなど、無理をしない登山を心がけるべきと、強く感じました。
 

URL 2012-05-06 Sun 09:17:04

私も夜間救助のブログ情報ありがとうございますと言いたい。

実は別の場所で亡くなられた方は私の母の知り合いの方でした

昨日その方の友人から母に一報が入り私達家族はニュースやらインターネットで確認をとるのが精一杯で、どうか無事でありますようにと祈るしか出来ませんでした。

一人で寒さや不安を感じながら亡くなられたと思い悲しみが抑えきれませんでしたが
そうでは無かったんだと夜間救助のブログを見てそう感じる事が出来ました。

残念ながらその方は生きてはこの街には戻っては来ませんが
それでも助けようとして命を張って頑張ってくれた救助隊員の方がいらしゃたということは
残された家族の方々にはこれからこの悲しみを乗り越えて行くうえでの唯一の慰めになると
思います。

救助に携わってくれた方々にご家族の代わりに感謝の言葉をのべたいと思います

本当にありがとうございました。

今回悲しいことに亡くなられた方もいらしたのは事実ですが
あなた方の賢明な努力により助かった命があった・・・・

あなた方は命に対して平等に、そしてなにより真剣に取り組んでくださった

本当にありがとうございました

大の字 URL 2012-05-06 Sun 07:30:08

救助活動大変お疲れ様でした。

一名の犠牲者が出てしまったのは非常に残念ですが、勇猛果敢に救助活動に携わった皆さんが、全員無事に活動を完結されたことは称賛に値すると思います。

一部、掲載に関してご意見があるコメントもありますが、内容にあっては十分にプライバシーに配慮されており、警鐘発信の意味合いでは、非常に意義深いことだと思います。

これからもどうぞご安全に…。
大変御苦労様でした。

西嬉の大将 URL 2012-05-06 Sun 03:38:49

お疲れ様でした。

山は怖い!でも山大好きです。
他人に迷惑かけず、自己完結。
今後の山行の参考にさせて頂きます。

ありがとうございます。

森の熊五郎 URL 2012-05-06 Sun 02:10:27

救助に携わった皆さん、本当にご苦労様でした。
これ以上の、コメントは出来ません。

URL 2012-05-06 Sun 02:02:02

おつかれさまです
山のいい面ばかりでなく 裏側のマイナスの部分を発信するのは良いと思います
これが一般の方とかなら兎も角 山を見守り登山者を見守る立場の人なら
注意喚起にもなりうるかと

裏側を受け止め 悲しいことが起きぬよう無理のない登山が増えることを願います

URL 2012-05-06 Sun 01:41:37

救助お疲れ様でした。
けれど、救助に関わったということを簡単にブログに掲載することは如何かとは思います。
某政令市消防局救助隊より。

名無し URL 2012-05-05 Sat 22:48:56

GJ!

Comment Form
Only inform the site author.

Home > 穂高 > 夜間救助

タグクラウド
リンク
パタゴニア Photo: Barbara Rowell
使いっ走りheyko のつぶやき
メッセージはこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

ランキング

この人とブロともになる

QRコード
QR
ブログランキング

FC2Blog Ranking

ようこそ穂高へ

Return to page top