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2012年05月 Archive

新雪

  • Posted by: Hachiro
  • 2012-05-30 Wed 17:19:15
  • 穂高
シンせつ
(2012/5/30 4:40am 常念岳と新雪のモルゲンロート)




昨日の寒気により稜線では15㎝程の積雪となった。




新雪08
(2012/5/30 7:40am 涸沢岳より)



この時期に雪が積もることはなくはないけれど、ここまでしっかりと新雪に覆われることも珍しい。
まるで暦がひと月後戻りした感じである。


でも下界の新緑はその濃さを増しており、確実に季節は進んでいるようだ。


新雪と新緑
(2012/5/30 稜線の新雪と白出の森の新緑)



そういえば今年はニリンソウの撮影が出来なかったなぁ…






















ジャン飛騨

  • Posted by: Hachiro
  • 2012-05-20 Sun 16:56:32
  • 穂高
先週は神戸、東京で「穂高・涸沢 Movie & Talk Session 」という催しがおこなわれた。
で、飛騨→信州→神戸→東京と旅の空となったのだが、
両会場とも大勢の方々にお越しいただけて楽しいイベントとなった。
また旧知の友人にもたくさん会うことができてとても嬉しかった。

わざわざ足を運んでくださったみな様、どうもありがとうございました。


さて今日は「ジャン飛騨」(ジャンダルム飛騨尾根)を登攀。

昨日東京から直接白出沢ゴルジュの幕営地に入り、今朝は2時起き3時発というなかなかハードな行程ではあったのだが、
クライミング映像の撮影のためプロガイドの木村道成さん他にご協力いただき、ナイスなクライミング&撮影を行うことが出来た。




ジャン飛騨01
(2012/05/20 8:32am ジャンダルム飛騨尾根にて)






ジャン飛騨
(2012/05/20 11:05am ジャンダルムと木村ガイド一行)




「ジャン飛騨」は僕ていどの技術でも楽しめる本格的なアルパインルートであるし、
特にこの時期は雪と岩、つまりは穂高のエッセンスを存分に味わうことのできる素晴らしいルートだと思う。

だが白出沢出合からだと標高差約1600mのロングルートとなるし、
ジャンの頂に立った後も「ロバの耳」の下降や「馬の背」のナイフリッジがあって気を抜けない。
(むしろこのルートの核心はこの縦走路かもしれない)

そして今日「ジャン飛騨」をたどりながら思わずにはいられなかったのは、やはり先日の間違い尾根での遭難である。

彼等はルート中の数々の難所をクリアしてきて、もうあと少しで穂高岳山荘だったのだ。
本当ならば吹雪のなか小屋にたどりつき、暖かい飲み物を手に「ちょっとヤバかったよなぁ」などと笑顔で語りあっていたに違いない。

なんとも残念でやりきれない。


今回の事故をうけて岐阜県の遭対協では間違い尾根の指導標をもっと分かりやすいものに作り替えてくれるそうだ。
また、来春期にはルートをさらに明確に示すためにフィックスロープの設置も検討している。




二度とあんな悲しい事故がおこらないことを願うとともに、
改めて心よりお二人のご冥福をお祈りいたします。







































夜間救助2

  • Posted by: Hachiro
  • 2012-05-08 Tue 17:56:22
  • 穂高

前回の記事には驚くほど多くのコメントをいただいた。


そのほとんどが激励や応援そして労いのお言葉であった。
おひとりおひとりにご返信をすることが出来ないけれど、ほんとうに勇気づけられた。
この場をかりてこころより御礼申し上げます。

ほんとうにありがとうございました。


また必ずしもこのような内容の記事に対して快く思われなかった方もおられたようですが、
そのことも真摯にうけとめ、今後とも山の住人としてのメッセージをお伝えしていきたいと思います。





と、実は上の文章を一昨日の夕刻に記してブログにアップしようとしていたところ、
まさにそのタイミングでまたもや救助要請が入ってしまった。



こんどは奥穂高稜線である。

出動午後4時10分、風雪、視界悪し、気温-5℃。


要救助者は3名+1名だったのだが、奥穂山頂直下で発見遭遇出来たのは内2名。
ひとりはなんとか自力歩行ができたが、もう1名は衰弱が激しく背負い搬送となった。




山荘上の雪壁で夕闇となり、またしてもの夜間救助である。


0506001



0506002
(2012/05/06  上記2枚=長野県警山岳救助隊 岡田副隊長撮影)





この日は岐阜県警の穂高常駐が午前中に下山してしまっていたので山荘スタッフ4名で事にあたっていた。
そこへありがたいことに涸沢から長野県警山岳救助隊が2名サポートへ駆けつけてくれた。
「駆けつける」といっても涸沢から通常2時間はかかる道程を、ましてこの日は新雪のラッセルの中をである。
彼らとは訓練の後の酒盛りで共にバカ騒ぎをした間柄なのだが、その知った顔が現場へ登場してくれるのはなんとも頼もしかった。





そして山荘へ収容できた要救助者の方は、スタッフ達の懸命の蘇生措置(といってもドクターはいないので、ひとつひとつが手探りの徹夜対応)でなんとか深夜に意識を取り戻し、翌早朝に岐阜県警ヘリにて病院へと搬送された。



0507-1
(2012/05/07  5:20am)


この日は風速が20mほどもあり、ヘリが3000mの高所に降りるにはかなり困難な状況だったと思う。
祈るような思いでヘリを待つ我々の元へ、強風のなかジリジリと高度を下げ、やがて見事着陸したヘリのパイロットの表情には気合いと使命感が満ちていた。
(さすがや!  ありがとう!!)


0507_2
(2012/05/07  5:25am)


こうして要救助者を乗せて病院へと向かってくれるヘリの後ろ姿には、なんだかいつも胸が熱くなる。







でもそうして、無事にふたりを救えた喜びもつかの間、
その直後には、奥穂高山頂直下の「間違い尾根」で発見された2名の遺体収容作業へと向かった。



現場が急な雪壁の微妙な場所であったため、作業は正午近くまでかかってしまったが、
なんとかこの日の内に亡骸を下界へと下ろすことはできた。


ジャンダルム飛騨尾根を登攀してきた彼等の装備はキチンとしたものだったし、
アクシデントの後、なんとか風雪をやり過ごそうと最後まで戦ったであろうことが感じとれた。
おそらく、その瞬間にほんのわずかでも視界が利けば、あるいは命を落とすことはなかったのではないかと思うと何ともやりきれない。




怒濤のように生と死が交錯した4日間にあって、僕たちはただただ眼前の出来事に力を尽くすことしかなかった。
その中で3名の命が失われてしまった。
今、自分の中に澱のようにある疲れのようなものは、なにも体力的なものだけではないと思う。







一昨日の夜、収容作業を終えて小屋へ入る直前のこと、
突然に雲が切れて「スーパームーン」が照らす山々が姿を現した。

見慣れたはずの穂高なのに、そのときの山は壮絶なまでの美しさだった。




あの時、間違い尾根にいたふたりは、あの光景を目に出来ただろうか…








































夜間救助

  • Posted by: Hachiro
  • 2012-05-05 Sat 17:48:39
  • 穂高
re-3
(2012/05/04 10:30pm 涸沢岳稜線にて)




ニュースで喧しく報じられているように、また山で悲劇がおこってしまった。


北アルプスでの遭難死亡者が8名となる惨事。

うち1名は穂高・涸沢岳でのものであるが、
その涸沢岳の一件では死亡者が6名となっていてもおかしくはなかった。



昨夜、涸沢岳で行ったレスキューの詳細をここに記すことはしないけれど、
一般の報道ではうかがい知れない壮絶な行いであった。



遭難場所が涸沢槍という難所であるのに加えて天候は吹雪、しかも夜、
稜線では気温-3℃で風速は20メートル以上、体感気温は-25℃にもなる。

諸状況を考えれば1名の遭難者を救うのでさえ困難かと思えるシチュエーション。
それが6名も…

正直なところ現場へ赴きつつも、仲間たちのことを考えれば、
どこで線をを引いて撤退するべきかを考えていたのが偽らざる心境であった。


だがそんな懸念なぞ関係なしに、いつしか関係者全てでの総力戦のレスキューとなっていった。

県警山岳警備隊、穂高岳山荘スタッフ、居合わせたドクターと看護士の方たち…
そのひとりひとりが、救助要請の第一報が入った午後7時頃から最後の要救助者を収容した午後11時過ぎ、
そして蘇生措置を行った深夜まで、それぞれのポジションやスキルのなかでの精一杯の戦いを繰り広げた。




re-2
(2012/05/04  涸沢岳稜線にて)




力を尽くしたにも関わらず、結果としては残念ながらひとりの方が命を落とされてしまった。

その方を背負ってきた若い救助隊員は悔しさでぼろぼろと泣いていたが、
僕はむしろ、あの状況下で6名すべてを山荘へ収容できたことが奇跡的だとも感じた。



収容後の措置で蘇生した方も数名いて、
外での救助活動に加えて、山荘内でのあの懸命な処置がなければ犠牲者の数はもっと増えていたと思う。

躊躇なしに自分たちの防寒衣類を与え、湯をわかし、部屋を暖め、処置に奔走する。
それも寝静まった一般の宿泊客の方々へ迷惑をかけることなしにである。


僕は過酷な現場でヘロヘロになってはいたけれど、
そんな仲間たちの頼もしくかつ素晴らしい行いに、改めて穂高岳山荘というものに感動した。



re_4.jpg
(2012/05/04  11:12pm 穂高岳山荘の土間玄関、担ぎ込まれた要救助者の処置を行う)





穂高で小屋番として身をおく以上、
こうしたレスキュー現場にたずさわることは結構ある。
今回はそんな経験のなかでもかなり過酷なものであったことは間違いない。



我々は漫画「岳」の三歩クンのようなスーパーマンでは決してない。

「できることはできるけど、できないことはできない」が信条の生身の人間だ。

でも僕たちにはそんないたらない自分をフォローしてくれる頼もしい仲間が大勢いる。

だから、三歩クンの口癖である“あの言葉”を、
今回は(自分を含めた)仲間たちへこそ捧げたい。



みんな、「よくがんばった!







※ ほんとうは、この「よくがんばった!」は、我々のレスキューの師であり仲間であった、故篠原秋彦さんの口癖でした。きっと、「岳」の作者の石塚さんもそんな想いを込めてくれているのだと思います。
















































ファインプレー

  • Posted by: Hachiro
  • 2012-05-03 Thu 18:47:39
  • 穂高
昨日からの雨でますます雪解けが進み、何だかもう山は5月末頃の雰囲気となった。
きっと麓の河川は「雪代」(雪解け水)でエラいことになっているのではないだろうか。



さて、連休期間中は岐阜県警山岳警備隊が小屋に常駐してくれている。
その彼らが今回の常駐に入ってすぐに奥穂への転落防止ネットの補修作業を行ってくれていた。

120430
(2012/04/30)


そして今日、雨の影響で足場が崩れやすくなっていたのか、ロープを結びあっていた2人がこの雪壁を滑落、
しかし転落防止ネットのおかげで怪我もなく大事にいたらずにすんだ。
もしもあの補修作業がなかったなら、かなりの確率で2人の命が失われていたと思う。

起こってしまった遭難事故に対処するのも大切な仕事だが、
こうして事前に事故を防ぐ地味な作業に多くの山岳関係者が力を尽くしている。

今回は岐阜県警山岳警備隊の隠れたファインプレーだったと思う。





























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